ページ内を移動するためのリンクです。

  1. ホーム
  2. 健康と病気
  3. 結核 - 古くて新しい病気
  4. なかなか減らない結核

結核 - 古くて新しい病気なかなか減らない結核

結核「中進国」日本

結核は、かつての日本では「亡国病」といわれるほど高いまん延状況を示していました(1943年の結核死亡率は人口十万対235、2018年の約230倍)。戦後は急速に低下し、一時は「結核の流行は終わった」といわれるくらいになりました。ところが1996~1997年にかけて結核患者の発生件数、その人口対率(罹患率)が増加に転じ、その後3年間上昇を続けました。国も「結核緊急事態宣言」を出し注意を呼びかけました。その後やっと減少傾向に戻りましたが、結核は「再興感染症」として再び注目されるようになりました。現在の日本の結核罹患率は2018年人口十万あたり12(約8,000人に1人)で、他の先進諸国の数倍の高さ、米国の1980年ごろの水準にあることから、日本は「結核中進国」と位置づけられています(図1)。

図1 日本と先進諸国の結核罹患率(全結核、2018年)

結核「再興」の要因

こうした「結核再興」の中で新たな問題点がでてきています。

  1. 1集団感染の増加
    若い世代で結核に対する抵抗力(免疫)をもたない人々が増えたこと、診断の遅れなどによる集団感染・院内感染が増加しています(図2)。

    図2 集団発生:どこで起こっているか?(2009-2018年、のべ発生集団数622件)

    結核集団感染は「同一の感染源が、2家族以上にまたがり、20人以上に結核を感染させた場合」と定義される。なお、単一の発端に関わり、2種類以上の集団にまたがる事例は複数回計数されている。

  2. 2重症化・重症発病例の増加
    患者さんが発病するとたちまち重症化したり、重病にならないと診断がつかない場合があります。
    しかも、結核と診断されて治療を始めた人の約14%の患者さんがその後結核で命を落とし、そのうちの半分近くが診断後1年以内に亡くなっています(図3)。

    図3 結核患者致命率の推移(登録1年以内の結核死亡/新登録患者数、1990-2018)

  3. 3高齢者での発病増加
    最近発病する患者さんの約70%が60歳以上です。その最大の要因は、この年齢層の人々の多くが戦前・終戦直後に感染を受けており、さらに加齢に伴うさまざまな健康問題などで結核発病を促していることにあります。
  4. 4社会的経済弱者の発病増加
    ホームレスをはじめとして社会的に弱い立場にあり、健康管理の機会に恵まれない人たちの発病が目立つようになってきました。
  5. 5多剤耐性結核の出現
    薬に抵抗性のある結核菌による病気が世界的に問題になっており、日本にもその影響が及ぶおそれがあります。(「多剤耐性結核とは?」の項参照)
  6. 6外国生まれ結核患者の増加
    日本よりも結核がはるかに多い発展途上国で生まれ育った人々が日本にきて結核を発病する例が増えており、2017年には日本で発生する患者の10%を超え、とくに20~29歳では70%にも達します。多くの欧米先進国ではこの割合は既に50~90%となっていますが、日本もそうした状況に備える必要がますます大きくなっています。(図4、図5)

    図4 新発生患者中の外国出生者の割合(全結核、日本は2018年、他は2016年)

    図5 新登録患者中外国生まれの割合(2000-2018年、全結核、全年齢および20-29歳)