ケンフェロールは
運動時の心肺負荷を軽減し、
最大強度運動時の
運動持続時間を延長する

これまでの研究で、ケンフェロール摂取により最大酸素摂取量が増加することが明らかとなりました。そこで、私たちは、ケンフェロール摂取によりアスリートの運動パフォーマンスが向上するという仮説を立て、アスリートに対して、ケンフェロールの摂取後に低、中、高強度の最大下運動(25%、50%、75%VO2max)を行った際の呼吸数および酸素摂取量を調べました。その結果、いずれの運動強度においても、呼吸数と酸素摂取量が減少することを確認しました。

各運動強度での酸素摂取量(VO2)を表すグラフ 各運動強度での呼吸数を表すグラフ
MEAN±SE *:P<0.05 vs プラセボ

さらに、最大強度(100%VO2max)の運動持続時間を調べた結果、ケンフェロール摂取により、プラセボに比較し約20秒延長し、運動開始1分後の呼吸数は減少しました。

これらの結果より、運動前のケンフェロールの摂取は、アスリートにおいて、様々な強度の運動中の酸素利用効率を高めるとともに、最大強度の運動負荷中の心肺負荷を軽減し、耐久力を向上させることが示唆されました。

100%VO2maxでの運動持続時間と呼吸数を表すグラフ
MEAN±SE
*:P<0.05 vs プラセボ, †:P<0.05 vs 2.5mg ケンフェロール

これらの結果より、運動前のケンフェロールの摂取は、アスリートにおいて、様々な強度の運動中の酸素利用効率を高めるとともに、最大強度の運動負荷中の心肺負荷を軽減し、耐久力を向上させることが示唆されました。

  • 大学運動部に所属する健康な成人男性16名を対象に、ランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験を実施。運動開始3時間前にプラセボまたはケンフェロール(10mg)を摂取させ、運動強度25%、50%、75%VO2maxでの運動負荷中の酸素摂取量および呼吸数、100%VO2maxでの運動負荷中の運動持続時間、呼吸数を比較した。
  • 出典:Okita K. et al., Physiological Reports. 2025; 13(9):e70369.

監修:北翔大学大学院 生涯スポーツ学研究科 教授 沖田 孝一 先生

旭川市生まれ。旭川医科大学卒業後、北海道大学医学部循環病態内科学講座にて医師としての研鑽を積む。総合内科専門医、循環器専門医として心臓病患者の診療に従事しつつ、各種疾患の骨格筋における酸素利用障害に着目した運動生理学的研究および運動療法の研究に携わる。また、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本医師会認定健康スポーツ医としてジュニア・トップアスリートの育成に関わり、現職に至っている。

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