大塚製薬株式会社

医療関連事業
2022年9月1日

体外診断用医薬品『Major BCR-ABL mRNA測定キット「オーツカ」』
フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病に対する保険適用が追加

大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長 井上眞、以下「大塚製薬」)は、慢性骨髄性白血病(CML: Chronic Myeloid Leukemia)の診断補助および治療効果モニタリングマーカーとして販売中の『Major BCR-ABL mRNA測定キット「オーツカ」』について、9月1日付けで新たにMajor BCR-ABLを有するフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph陽性ALL)が保険適用となりましたので、お知らせします。

急性リンパ性白血病(ALL:Acute Lymphoblastic Leukemia)はリンパ球が幼若な段階で悪性化し、がん化した細胞(白血病細胞)が無制限に増殖することで発症する疾患で、病状の進行が速く、早期診断と治療効果のモニタリングが重要です1)2)。なお、ALLの患者数は平成29年厚生労働省患者調査の概況において約5,000人と報告されています。

フィラデルフィア染色体はALLにおける染色体異常の一つであり、Ph陽性ALLに対してはチロシンキナーゼ阻害薬と化学療法の併用や造血幹細胞移植が行われます3。フィラデルフィア染色体で形成される融合遺伝子BCR-ABLを用いたMajor BCR-ABL mRNAの測定は、Ph陽性ALLの診断補助としての利用に加え、モニタリング指標である微小残存病変の定量評価の指標として利用されていますが3)、これまでPh陽性ALLにおいてMajor BCR-ABL mRNAを定量的に測定できる体外診断用医薬品は無く、臨床現場より開発が望まれていました。

大塚製薬は、患者数が少なく臨床試験が難しい本疾患に対して長年にわたり研究開発に取り組んだ結果、このたびの保険適用追加に至りました。既承認のminorタイプに加えてMajorタイプのBCR-ABL mRNAが保険診療下で測定可能となり、ほとんどのPh陽性ALL患者さんで検査が可能となります4)

大塚製薬診断事業部では、血液がん領域における体外診断用医薬品として、本品のほか『WT1 mRNA測定キットⅡ「オーツカ」』および『minor BCR-ABL mRNA測定キット「オーツカ」』を上市しており、幅広い領域の患者さんを対象とした体外診断用医薬品を揃えています。今後も患者さんの診療に役立つより良い診断薬の開発を目指し未解決の医療課題の解決に貢献してまいります。

BCR-ABLBCR-ABL1):フィラデルフィア染色体ではBCR-ABL1という融合遺伝子が形成され、BCR-ABL1融合遺伝子により作られるBCR-ABL1チロシンキナーゼの恒常的な活性化がPh陽性ALLの原因とされています2)。Ph陽性ALLの治療効果モニタリングにおいてBCR-ABL mRNA量が指標となります3


出典

1) 国立がん研究センターがん情報サービス(https://ganjoho.jp/public/cancer/ALL/index.html

2) 日本内科学会雑誌107:1301~1308,2018

3) 一般社団法人 日本血液学会編.造血器腫瘍診療ガイドライン(2018年版補訂版)

4) Akahoshi, Y. et al.: Cancer Sci. 2019;110(10):3255-3266

製品概要

販 売 名 Major BCR-ABL mRNA測定キット「オーツカ」
使 用 目 的
●慢性骨髄性白血病(CML)
末梢血白血球より抽出したRNA中のMajor BCR-ABL mRNA/ ABL mRNA比(国際標準値)の測定
(慢性骨髄性白血病(CMLの診断補助及び治療効果のモニタリング)
●フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph陽性ALL)
末梢血白血球又は骨髄液有核細胞より抽出したRNA中のMajor BCR-ABL mRNA/ ABL mRNA比の測定
(Major BCR-ABLを有するフィラデルフィア染色体(Ph)陽性急性リンパ性白血病(ALL)の診断補助及び治療効果のモニタリング)
発 売 日 2014年11月10日

保 険 適 用

D006-3 BCR-ABL1
(3)フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病の診断補助及び治療効果のモニタリングを目的として測定した場合、「1」のMajor BCR-ABL1(mRNA定量(国際標準値))の所定点数を準用して算定する。
Major BCR-ABL1(mRNA定量)は、リアルタイムRT-PCR法により測定した場合に限り算定できる。

診療報酬点数

2,520点

包 装 単 位

48テスト用

有 効 期 間

製造日より27ヵ月

貯 蔵 方 法

-20℃以下

製 造 販 売 元

大塚製薬株式会社