大塚製薬株式会社
国立循環器病研究センターと共同研究契約を締結
大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上 眞、以下「大塚製薬」)は、国立研究開発法人国立循環器病研究センター(所在地:大阪府吹田市、理事長:大津 欣也)と、心不全または高血圧症を有する外来の心疾患患者さんを対象に、心臓リハビリテーション参加中における栄養モニタリングアプリ「Vivoo(ビブー)」を活用した減塩に対する行動変容の検討に関する共同研究契約を締結しましたので、お知らせします。
高齢化の進行に伴い、日本を含む世界各国で心疾患患者数は増加し続けており、再発予防の重要性が高まっています。心不全患者さんおよび高血圧症患者さんに対しては、減塩を中心とした栄養指導が推奨されていますが、令和5年の国民健康・栄養調査によると、日本人の平均塩分摂取量は「1日あたり9.8g」と報告されており、年々減少傾向にあるものの、依然として高い水準にあります。健康な人が心不全や高血圧症を発症した場合には、日本高血圧学会が推奨する「1日6g未満」の塩分摂取量との間に乖離が生じます。こうした背景から、より効果的で実践しやすい減塩方法の開発が強く求められています。
本研究は、心疾患患者さんの減塩への意識向上を目的として、栄養モニタリングアプリVivooを用いた探索的臨床試験として実施されます。Vivooは、尿をかけた試験紙を専用アプリで読み取ることで、人工知能と画像処理技術により栄養状態を測定し、その測定結果に合わせて管理栄養士が監修した食や生活習慣のアドバイスを提供します。自宅で塩分摂取状況を頻回に測定できる環境を整えることで、自身の行動変容を促し、生活習慣の改善に寄与することを目指します。本研究は、従来の治療中心のアプローチから一歩踏み出し、患者さんの生活に変化を起こすことを定量的にとらえることを目的としており、企業として生活者の行動を支えることにどれほど貢献できるかを測る試みでもあります。
本研究の責任研究者である国立循環器病研究センター 循環器病リハビリテーション部 心血管リハビリテーション科医長 村田誠 医師は、「本研究は、心疾患患者さんの減塩行動を日常生活の中で自然に促すための新たなアプローチとして、栄養モニタリングサービスの活用可能性を検証するものです。患者さん自身が自宅で塩分摂取状況を可視化できることで、医療者からの指導だけでなく、自己管理の意識を高めることが期待されます。今後、こうしたテクノロジーを活用した栄養介入が、生活の質の向上に寄与することを目指しています」と述べています。
■研究概要
- 試験課題:心疾患患者への栄養モニタリングアプリによる減塩に対する行動変容の検討
- 研究期間:2025年(倫理審査承認日)~2029年6月30日
- 研究実施場所:国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)
- 研究方法:栄養指導とアプリによる介入を通じた探索的臨床試験
- 使用アプリ:Vivoo
■期待される成果
本研究により、心疾患患者さんの減塩行動変容が明らかとなれば、同様の疾患を持つ患者さんに対する新たな治療支援の可能性が広がります。また、医療機関に依存せず、患者さん自身が日常的に健康管理を行える環境の構築にも貢献します。
■研究体制
- 国立循環器病研究センター:研究代表医師による倫理審査・研究実施
- 大塚製薬株式会社:データマネジメント支援、統計解析計画作成支援、論文作成
■Vivooの包装・使用方法
左図のようにストリップ(試験紙)がパッケージ内に1本包装されている。パッケージよりストリップを取り出し、先端に尿をかけ、90秒待つ。その後スマートフォンの専用アプリにて先端部分を撮影することにより、以下が表示される。
· 水分レベル:少(赤)、少(黄色)、Good、多
· 肉/野菜 バランス:動物性、Good、植物性
· 骨の健康にかかわるミネラル:少(赤)、少(黄色)、Good、多
· 食塩摂取量:少、Good、多(黄色)、多(赤)
· ビタミンC:少(赤)、少(黄色)、Good
· 酸化ストレス:Good、多
(体験動画はこちらをご覧ください https://vivoo.mil.movie/PxYUKp/)
大塚製薬について
大塚製薬は、一人ひとりの可能性に向き合うトータルヘルスケアカンパニーです。"Otsuka-people creating new products for better health worldwide"の企業理念のもと、未充足の医療ニーズに新たな価値を提供する医療関連事業と、科学的根拠をもった独創的な製品やサービスにより日々の健康維持・増進をサポートするニュートラシューティカルズ関連事業を通じて、人々のウェルビーイングの実現に向けて取り組んでいます。 詳細はコーポレートサイトwww.otsuka.co.jp をご覧ください。