大塚製薬株式会社

医療関連事業
2026年7月27日

新規作用機序を持つ「SIMTRIYO®(センタナファジン)」
注意欠如・多動症(ADHD)治療薬として米国で販売承認を取得

大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上 眞、以下「大塚製薬」)と米国子会社であるOtsuka Pharmaceutical Development & Commercialization, Inc.(所在地:米国ニュージャージー州・プリンストン、以下「OPDC」)は、7月24日(米国時間)、1日1回投与の徐放性製剤 「SIMTRIYO®(INN: centanafadine、開発コード: EB-1020)」が、6歳以上(20kg以上)の児童、青少年、成人の注意欠如・多動症(ADHD)治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)より製造販売承認を取得しましたので、お知らせします。SIMTRIYOは、脳内の神経伝達物質である3つのモノアミン(ノルエピネフリン、ドパミン、セロトニン)の再取り込みを阻害するNDSRI(norepinephrine, dopamine, and serotonin reuptake inhibitor)で、米国においてはcentral nervous system stimulantに分類されます。SIMTRIYOは、ADHDの治療領域において初めて承認されたNDSRIであり、新しい作用機序を有するファースト・イン・クラスの治療薬として、患者さんや医療従事者に新たな治療選択肢を提供します。

ADHDは、多様な症状を示し、個々の治療ニーズが一人ひとり異なる複雑な疾患です。不注意、多動性・衝動性といった症状はノルエピネフリン、ドパミン、セロトニン神経系において神経伝達の調節異常が関与しており、SIMTRIYOはこれら3つのモノアミンの再取り込みを阻害することで薬理作用を発揮します。本剤は今後米国麻薬取締局(DEA)による規制区分指定手続きを経て、2026年中に発売する予定です。

本承認は、児童、青少年、成人の患者さんを対象にSIMTRIYOの有効性と安全性を評価した4つのフェーズ3試験の結果に基づいています。いずれの試験においても、SIMTRIYO群はプラセボ群と比較し、ADHD症状に対して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました。症状評価は、児童・青少年には「ADHD評価スケール第5版(ADHD-RS-5)」、成人にはADHD症状評価スケール「Adult Investigator Symptom Rating Scale(AISRS)」が用いられました。成人、児童・青少年を対象とした臨床試験では、投与1週目からADHD症状の改善が認められ、6週間の治療期間を通じて維持されました。主な有害事象は、児童・青少年では食欲減退、悪心、発疹、頭痛および腹痛、成人では頭痛、食欲減退、不眠、悪心、口渇および下痢でした。

OPDCの上級副社長兼医学責任者John Krausは、「SIMTRIYOの承認は、新たな治療アプローチをもたらすものであり、ADHDとともに生きる人々にとって重要な節目となります。ADHDは、患者さんごとに症状やニーズが異なる複雑な疾患であり、児童期、思春期、成人期を通じて影響を及ぼす可能性があります。今回の承認は、ADHDを有する患者さんやご家族の多様なニーズに応える革新的な治療選択肢の提供に向けた、当社の取り組みの成果です。ご協力いただいた患者さん、ご家族の皆さま、医療関係者の皆さまに心より感謝申し上げます」と述べています。

ニューヨーク大学ランゴン・ヘルス 成人ADHDプログラム責任者であるLenard A. Adler博士は、「ADHDは、学校生活、仕事、人間関係など、日常生活のさまざまな側面に大きな影響を及ぼす可能性があります。治療を受けている場合でも、ADHDの症状や特性は患者さんごとに大きく異なるため、多くの患者さんで日常生活に支障を来す症状が残ることがあります。SIMTRIYOの承認により、患者さんと医療従事者の治療選択肢が広がります。ADHDは患者さんごとに症状やニーズが異なるため、それぞれに適した治療を選択することが重要であり、治療選択肢が増えることには大きな意義があります」と述べています。

大塚製薬は、追加の臨床研究を通じて、センタナファジンに関するエビデンスの拡充を進めています。不安症を併発する成人ADHD患者さんを対象としたフェーズ3b試験において、センタナファジンはプラセボと比較してADHD症状の統計学的に有意な改善を示し、その臨床プロファイルに関する新たな知見が得られています。フェーズ3b試験の結果の詳細は、今後開催される学会で発表する予定です。

フェーズ3試験について

SIMTRIYOのFDAによる承認は、ADHDを有する児童、青少年および成人患者を対象にセンタナファジンの有効性および安全性を評価した4つの無作為化、二重盲検、プラセボ対照フェーズ3試験の結果に基づいています。

成人患者を対象とした2つの試験(NCT03605680、NCT03605836)では、センタナファジン群はプラセボ群と比較して、 ADHD症状評価スケール「Adult Investigator Symptom Rating Scale(AISRS)」総スコアにおいて統計学的に有意な改善を示しました。症状の改善は投与1週目から認められ、6週間の治療期間を通じて維持されました。

児童および青少年を対象とした試験(NCT05428033、NCT05257265)では、センタナファジン高用量群は、プラセボ群と比較して「ADHD評価スケール第5版(ADHD-RS-5)」総スコアにおいて、統計学的に有意な改善が認められました。症状の改善は投与1週目から認められました。

フェーズ3臨床開発プログラムを通じて、センタナファジンは概ね良好な忍容性を示しました。また、臨床試験および非臨床試験を通じて、一貫した安全性プロファイルが示されました。主な有害事象は、児童(6~12歳)では発疹および食欲減退、青少年(13~17歳)では食欲減退、悪心、発疹、頭痛および腹痛、成人では頭痛、食欲減退、不眠、悪心、口渇および下痢でした。

注意欠如・多動症(ADHD)について

ADHDは、主に不注意、多動性、衝動性を特徴とする慢性的な神経発達症(発達障害)の一種です1

学業、仕事のパフォーマンス、対人関係などに影響を及ぼし、患者さんの日常生活にさまざまな支障をもたらすことがあります。またADHDは幼少期に診断されることが多く、その症状は思春期や成人期まで続くことも少なくありません。米国では約700万人の子どもと、推定約1,550万人の成人がADHDを有していると米疾病予防管理センター(CDC:Centers for Disease Control and Prevention)は報告しています2,3

SIMTRIYO®センタナファジン)について

SIMTRIYOは、ノルエピネフリン、ドパミン、セロトニンの再取り込みを阻害するNDSRI(norepinephrine, dopamine, and serotonin reuptake inhibitor)であり、central nervous system stimulantに分類されるファースト・イン・クラスの治療薬です。臨床試験において、SIMTRIYOは児童、青少年および成人のADHD患者さんにおける症状を有意に改善しました。臨床データからは一貫した安全性プロファイルが示されました。

大塚製薬株式会社について

大塚製薬は、一人ひとりの可能性に向き合うトータルヘルスケアカンパニーです。"Otsuka-people creating new products for better health worldwide"の企業理念のもと、未充足の医療ニーズに新たな価値を提供する医療関連事業と、科学的根拠をもった独創的な製品やサービスにより日々の健康維持・増進をサポートするニュートラシューティカルズ関連事業を通じて、人々のウェルビーイングの実現に向けて取り組んでいます。 詳細はコーポレートサイト www.otsuka.co.jpをご覧ください。

  • 1American Psychiatric Association (2022). Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (5th ed., text rev).
  • 2Staley, Brook S, et al. Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder Diagnosis, Treatment, and Telehealth Use in Adults -- National Center for Health Statistics Rapid Surveys System, United States, October-November 2023. US Centers for Disease Control and Prevention.
  • 3Data and Statistics on ADHD. Attention-Deficit/ Hyperactivity Disorder (ADHD). November 19. 2024. U.S. Centers for Disease Control and Prevention. https://www.cdc.gov/adhd/data/index.html