大塚製薬株式会社
IgA腎症治療薬「VOYXACT®(シベプレンリマブ)」
フェーズ3試験における2年間のeGFR(推算糸球体濾過量)データを発表
‐ 腎機能の低下速度を年齢に伴う範囲に安定させ、疾患進行を根本から変える可能性を示す ‐
- フェーズ3(VISIONARY)試験の主要副次評価項目である24カ月のeGFR slopeの年間変化率は、シベプレンリマブ群の+0.3(95%信頼区間:−0.4~0.9)mL/min/1.73 m²/年に対し、プラセボ群では−4.2(95%信頼区間:−4.9~−3.6)mL/min/1.73 m²/年であった
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シベプレンリマブ(製品名:VOYXACT®)は米国FDA承認済みの薬剤(現時点では迅速承認)として、2年間にわたり腎機能の安定化と改善を示した初めてかつ唯一のIgA腎症治療薬となった。また、安全性プロファイルはプラセボと同程度であった
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本結果は、IgA腎症の病態因子であるAPRILを選択的に阻害するシベプレンリマブが、症状を抑えるだけでなく、疾患の原因に直接作用し、進展を抑制する疾患修飾薬となり得ることを支持する臨床エビデンスとなる
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フェーズ3試験の全データが揃い、本剤の正式承認取得に向けて米国FDAに提出している生物製剤承認一部変更申請(sBLA)の段階的審査における重要なマイルストーンを達成した
大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上眞、以下「大塚製薬」)と米国子会社のOtsuka Pharmaceutical Development & Commercialization, Inc.(所在地:米国ニュージャージー州・プリンストン、以下「OPDC」)は、GlomCon Hawaii 2026(8月3-7日開催)において、成人のIgA腎症治療薬シベプレンリマブ(一般名)におけるフェーズ3(VISIONARY)試験(NCT05248646)の新たなデータを発表しました。本データは、シベプレンリマブがプラセボと比較してeGFR(推算糸球体濾過量)を改善し、疾患進行リスクを有するIgA腎症の成人患者において、2年間(24カ月)にわたり腎機能の安定化に寄与したことを示しています。
本試験は、疾患進行リスクを有する原発性IgA腎症の成人患者を対象としており、主要副次評価項目であるeGFR(推算糸球体濾過量)slopeの年間変化率において、シベプレンリマブはプラセボと比較して2年間にわたり腎機能を改善し、統計学的に有意な腎機能の安定化を達成しました。24カ月のeGFR slopeの年間変化率は、シベプレンリマブ群で+0.3(95%信頼区間:−0.4~0.9)mL/min/1.73 m²/年でした。プラセボ群は−4.2(95%信頼区間:−4.9~−3.6)mL/min/1.73 m²/年であり、群間差は4.5(95%信頼区間:3.6~5.4)mL/min/1.73 m²/年となりました。この結果は、年間の腎機能低下を正常な速度(1 mL/min/1.73 m²/年未満)に抑えるという、腎臓病治療の国際ガイドライン(KDIGO)の治療目標を達成するものです1。
24カ月時点におけるeGFRのベースラインからの最小二乗平均変化量は、副次評価項目として評価され、試験開始時から24カ月時点までの腎機能の全体的な変化を反映する指標として、反復測定用混合モデル(MMRM)を用いて解析されました。その結果、24カ月時点におけるeGFRのベースラインからの最小二乗平均変化量は、シベプレンリマブ群で+1.3(95%信頼区間:−0.3~2.8) mL/min/1.73 m²でした。プラセボ群は−7.9 (95% 信頼区間:−9.5~−6.4)mL/min/1.73 m²であり、群間差は9.2(95% 信頼区間:7.1~11.4) mL/min/1.73 m²(p<0.0001)となりました。
シベプレンリマブは良好な忍容性を示し、安全性プロファイルは2年(24カ月)を通じて一貫しており、プラセボと同程度でした。全体的な有害事象の発生率(90.7% vs 90.0%)、感染症の発生率(51.4% vs 51.0%)および注射部位反応の発生率(35.1% vs 32.2%)は、シベプレンリマブ群とプラセボ群で同程度でした。新たな安全性上の懸念は認められず、重篤な感染症の発生率はシベプレンリマブ群がプラセボ群よりも低く(1.9% vs 4.0%)、重篤および重度の有害事象の発生率ならびに治療中止率も、シベプレンリマブ群で低い傾向が認められました。
VISIONARY試験で得られたこれらのデータは、米国FDAによる正式承認(Traditional Approval)の取得を目的とした生物製剤承認一部変更申請(sBLA)のほか、世界各国におけるシベプレンリマブの承認申請のため、各規制当局へ提出されます。また、24カ月時点における詳細な解析結果は、今後開催される国際学会で発表する予定です。
アラバマ大学バーミンガム校腎臓内科のDana Rizk教授(VISIONARY試験の治験責任医師兼運営委員会共同委員長)は、「腎臓専門医にとって、IgA腎症患者における腎機能の安定化は、本疾患の臨床管理における大きな前進を意味します。VISIONARY試験における2年間のeGFRの結果は、腎機能低下を生理的レベルに近い水準まで抑制するというKDIGOの治療目標を達成し、疾患進行のあり方を根本的に変える可能性を示しました。さらに、事前に規定された各サブグループにおいて一貫して認められた有効性と、シベプレンリマブの良好な安全性プロファイルは、この進行性疾患とともに生きる患者さんに、より良好な長期予後への新たな希望をもたらすものと考えています」と述べています。
OPDCの上級副社長兼医学責任者であるJohn Krausは、「VISIONARY試験は、IgA腎症において、実際の診療現場でみられる幅広い患者さんを対象とした、現時点で最大規模のフェーズ3試験です。本試験で得られた結果は、これまでにIgA腎症のフェーズ3試験で報告された中で最大の治療効果を示すものであり、その有効性は単なる症状管理にとどまらず、腎機能の安定化および疾患進行の抑制に及ぶことが確認されました。本データは、選択的APRIL阻害が安全かつ持続的な疾患修飾治療アプローチであることを支持するエビデンスをさらに強化するものです。VISIONARY試験への参加をはじめ、IgA腎症研究の進展に貢献してくださった患者さん、ご家族、支援者、研究者の皆様に深く感謝いたします。患者さんに革新的な治療選択肢を届けるという共通の目標のもと、今後もIgA腎症に関する研究開発を推進してまいります」と述べています。
【VOYXACT(一般名:シベプレンリマブ)について】
VOYXACTは、米国FDAの承認を取得した初めての、かつ現在唯一の選択的APRIL阻害薬であり、IgA腎症の疾患進行に関与する主要な病態メカニズムを標的とする治療薬です2。VOYXACTは、フェーズ3 VISIONARY試験において、9カ月時点でプラセボ群と比較してタンパク尿を統計学的に有意に減少させるという主要評価項目を達成したことを受け、2025年11月に米国FDAより迅速承認を取得しました。今回得られた2年間(24カ月)のeGFRに関する主要副次評価項目の結果は、選択的APRIL阻害がIgA腎症に対する標的治療アプローチとして有用であることを裏付けるものです。これらの結果は、これまでに確認されているガラクトース欠損IgA1(Gd-IgA1)の減少、タンパク尿の改善、および血尿の改善に関する知見をさらに補強するものであり、VOYXACTがIgA腎症の疾患経過そのものに影響を与え、患者さんの長期的な臨床転帰を改善する可能性を示しています2。VISIONARY試験の完了は、VOYXACTの正式承認に向けた米国FDAへの生物製剤承認一部変更申請(sBLA)の段階的提出における、重要なマイルストーンです。
【フェーズ3(VISIONARY)試験について】
フェーズ3(VISIONARY)試験(NCT 05248646)は、疾患進行リスクを有する原発性IgA腎症成人患者さんを対象としたグローバルな多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験です。
主要評価項目では、投与9カ月時点における24時間尿におけるuPCR(尿蛋白/クレアチニン比)のベースラインからの変化を用いて、プラセボ群と比較したタンパク尿の減少を評価しました。
主要副次評価項目では、24カ月(2年間)にわたるeGFR slopeの年間変化率を評価し、経時的な腎機能の変化を評価しました。また、24カ月時点におけるeGFRのベースラインからの最小二乗平均変化量も副次評価項目として評価され、あらかじめ定められた時点における全体的な治療効果を補完的に評価しました1,2。本開発プログラムでは、IgA腎症に関する科学的知見のさらなる蓄積を進めており、現在実施中の非盲検長期継続試験(NCT05248659)から今後追加データが得られる予定です。
【IgA(免疫グロブリンA)腎症について】
IgA(アイ・ジー・エー)腎症は、通常は20~40歳代の成人に比較的多く発症します。本疾患は、免疫複合体が腎臓に沈着することで、進行性の腎機能低下を引き起こし、最終的には末期腎不全にいたる可能性があることから、患者さんに大きな負担をもたらします。腎機能障害の進行を抑制する各種の治療が行われているものの、この疾患の根本原因に対処する治療法には未充足の医療ニーズが存在しています3-7。
大塚製薬について
大塚製薬は、一人ひとりの可能性に向き合うトータルヘルスケアカンパニーです。"Otsuka-people creating new products for better health worldwide"の企業理念のもと、未充足の医療ニーズに新たな価値を提供する医療関連事業と、科学的根拠をもった独創的な製品やサービスにより日々の健康維持・増進をサポートするニュートラシューティカルズ関連事業を通じて、人々のウェルビーイングの実現に向けて取り組んでいます。 詳細はコーポレートサイト www.otsuka.co.jp をご覧ください。
- 1
- Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) IgAN and IgAV Work Group. KDIGO 2025 Clinical Practice Guideline for the Management of Immunoglobulin A Nephropathy (IgAN) and Immunoglobulin A Vasculitis (IgAV). Kidney Int. 2025;108(4S):S1-S71.
- 2Perkovic, V., Trimarchi, H., Tesar, V., Lafayette, R., Wong, M. G., Barratt, J., Suzuki, Y., Liew, A., Zhang, H., Carroll, K., Jha, V., Quevedo, A., Han, S. H., Praga, M., Chacko, B., Sahay, M., Cheung, C. K., Kooienga, L., Walsh, M., ... Rizk, D. V. (2026). Sibeprenlimab in IGA nephropathy -- interim analysis of a phase 3 trial. New England Journal of Medicine, 394(7), 635-646.https://doi.org/10.1056/nejmoa2512133
- 3Pitcher, D. Braddon, et. al Long-term outcomes in IGA nephropathy. Clinical journal of the American Society of Nephrology: CJASN. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37055195/
- 4 Cheung, Chee Kay & Boyd, JKF & Feehally, J.. (2012). Evaluation and management of IgA nephropathy. Clinical Medicine. 12. s27-s30. 10.7861/clinmedicine.12-6-s27.
- 5 Lai K. Iga nephropathy. Nature reviews. Disease primers. 2016
- 6 Cheung CK, Barratt J, Liew A, Zhang H, Tesar V, Lafayette R. The role of BAFF and April in IGA nephropathy: Pathogenic mechanisms and targeted therapies. Frontiers in nephrology. February 1, 2024.
- 7 Chang S, Li XK. The Role of Immune Modulation in Pathogenesis of IgA Nephropathy (nih.gov)