大塚製薬株式会社

医療関連事業
2026年9月22日

FUS変異による筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対する「ウレフネルセン」のフェーズ3試験における良好な結果について

- FUS-ALS患者さんに対する遺伝子標的治療の実現に向けた着実な前進 -
  • ウレフネルセンは、FUS-ALS患者さんにおける機能障害および生存を評価する主要評価項目において、プラセボ群と比較して統計学的に有意な改善を示し、疾患の進行抑制につながる可能性を示した
  • 副次評価項目においても、FUS-ALSに対するウレフネルセンの有効性を裏付ける結果が得られた
  • ウレフネルセンは良好な安全性および忍容性プロファイルを示し、有害事象の大部分は軽度または中等度であった
  • 迅速な承認申請に向けて、米国食品医薬品局(FDA)および、各国・地域の規制当局と本試験結果について協議を進める予定

大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上眞、以下「大塚製薬」)、米国子会社のOtsuka Pharmaceutical Development & Commercialization, Inc.(所在地:米国ニュージャージー州・プリンストン、以下「OPDC」)およびIonis Pharmaceuticals, Inc.(本社:米国カリフォルニア州、CEO:Brett P. Monia, Ph.D.、以下「アイオニス社」)は、FUS(Fused in Sarcoma)遺伝子変異により引き起こされる筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis: ALS)の病型であるFUS-ALS1患者さんを対象に、RNAを標的とする開発中の「ウレフネルセン」(JAN:未取得、INN:ulefnersen、開発コード:ION363)について、フェーズ3(FUSION)試験(NCT04768972)で良好な速報結果が得られたことをお知らせします。

現在、アイオニス社によりグローバル臨床試験が実施されており、本剤は「FUS-ALS」における新たな治療選択肢として期待されています。大塚製薬は2024年にアイオニス社とのライセンス契約を締結し、本剤の全世界を対象とした独占的製造販売権を取得しました。

本試験は、FUS-ALS患者さんを対象に、ウレフネルセンを髄腔内投与し、その有効性および安全性を評価するグローバル多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照のフェーズ1-3試験です。Part1では、ウレフネルセン群またはプラセボ群に無作為に割り付け、72週間の二重盲検下で投与を実施しました。その後、Part2の非盲検継続投与期間に移行し、全参加者がウレフネルセンの投与を受けました。今回の主要解析における速報結果は、Part 1のデータに基づきます。

本試験では主要評価項目を達成し、ウレフネルセン群はプラセボ群と比較して、死亡または永続的換気までの期間、追加(レスキュー)治療開始までの期間、ならびにベースラインから505日目までの改定ALS機能評価スケール(ALSFRS-R)スコアの変化を組み合わせたJoint Rank Analysisによる機能低下および生存期間の評価において、統計学的に有意な改善を示しました (p=0.0005)。これは、FUS-ALSの根本原因となる遺伝子を標的としたプラセボ対照臨床試験で初めて得られた臨床エビデンスとなります。

また副次評価項目においても、ウレフネルセン群を支持する統計学的に有意な改善が認められました。これには、血清ニューロフィラメント軽鎖(Neurofilament Light:NfL)、死亡までの期間、永続的換気までの期間、追加(レスキュー)治療の開始または疾患進行による試験中止のうち最初の事象が発生するまでの期間が含まれます。これらの結果は、ウレフネルセンがFUS-ALS患者さんの疾患進行に作用する可能性をさらに裏付けるものです。ウレフネルセンは、良好な安全性および忍容性プロファイルを示し、報告された有害事象の大部分は軽度または中等度でした。

FUS-ALSは、比較的若年で発症し、急速に進行することが多い希少なALSの病型です。疾患の進行に伴い筋力が低下し、患者さんは運動機能に加え、発話、嚥下および呼吸機能を失うことで、自立した生活が困難となり、最終的には早期死亡に至ることもあります2。現在、FUS-ALSの根本原因である遺伝子変異を標的とした治療で承認されたものはなく、有効な治療選択肢に対する大きなアンメット・メディカル・ニーズが存在しています。今回の試験結果は、FUS-ALSの根本的な原因である遺伝子変異を標的としたプラセボ対照臨床試験として得られた初めてのエビデンスであり、これまでFUS-ALS患者さんのために開発された治療法がない中で、この疾患と向き合ってこられた患者さんとそのご家族にとって重要な前進となるものです。

OPDCの上級副社長兼医学責任者John Krausは、「今回の結果は、FUS-ALS患者さんにとって大きなマイルストーンであり、長年にわたり治療選択肢が限られている中、この深刻な疾患に向き合ってこられた患者さんおよび関係者の方々にとって新たな可能性を切り開くものです。本試験結果は、FUS-ALSにおける臨床試験として初めて主要評価項目を達成し、遺伝子を標的としたアプローチが疾患の経過を変える可能性を示す有力なエビデンスとなりました。私たちは、ウレフネルセンの開発を迅速かつ科学的根拠に基づいて推進するため、規制当局と緊密に連携してまいります。またALSを含む神経疾患および希少疾患領域において、依然として大きなアンメット・メディカル・ニーズを抱える患者さんに意義のある治療選択肢を提供するため、引き続き尽力していきます」と述べています。

アイオニス社 開発担当最高責任者兼エグゼクティブ・バイスプレジデントのHolly Kordasiewicz博士は、「今回の画期的な試験結果は、FUS-ALSコミュニティに新たな希望をもたらすものであり、この希少で急速に進行する深刻な、遺伝子変異を原因とするALSの治療を変革するために取り組んできた私たちにとっても重要なマイルストーンです。ウレフネルセンは、機能評価と生存評価を組み合わせた事前規定のJoint Rank Analysisを用いたフェーズ3試験において、統計学的に有意なベネフィットを示した初めての開発中の治療薬です。この結果は、本剤が疾患進行を有意義に修飾する可能性を支持するものです。今回の前例のない結果は、神経疾患領域における当社の科学技術の強みを示すとともに、希少な遺伝子変異を原因とするALSに関するこれまでの経験の積み重ねを反映しています。私たちは、ウレフネルセンがFUS-ALS患者さんにとって疾患の治療に変革をもたらす可能性を持つ医薬品になり得ると信じています。今回臨床試験に参加いただいた患者さんおよび関係者の皆さまに心より感謝申し上げます」と述べています。

大塚製薬およびアイオニスは、今後、事前に規定された解析および探索的解析を通じて、FUS-ALS治療におけるウレフネルセンの可能性を評価するとともに、迅速な承認申請の可能性を検討するため、本試験結果について米国食品医薬品局(FDA)および各国・地域の規制当局との協議を進めてまいります。

なお、本試験の追加解析および現在進行中の非盲検継続投与パートにより、FUS-ALS患者さんに対するウレフネルセンの長期的な有効性および安全性について、さらなる知見が得られる見込みです。本試験の詳細な結果は、今後開催される医学会での発表のほか、学術誌への投稿を予定しています。

FUSION試験について

本試験は、FUS-ALS患者を対象に、ウレフネルセンを髄腔内投与し、その有効性および安全性を評価するグローバル多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照のフェーズ1-3試験です。

本試験のPart 1では、ウレフネルセン群またはプラセボ群に無作為に割り付け、72週間の二重盲検下で投与を行いました。その後、Part 2の非盲検継続投与期間へ移行し、すべての患者がウレフネルセンの投与を受けました。

主要評価項目は、改訂ALS機能評価尺度(ALSFRS-R)、追加(レスキュー)治療実施までの期間、および人工換気補助を必要としない生存期間を組み合わせたJoint Rank Analysisにより、患者さんの機能低下の程度と生存状況を評価しました。

副次評価項目は、血清ニューロフィラメント軽鎖(Neurofilament Light:NfL)、死亡までの期間、永続的換気までの期間、疾患進行による試験中止までの期間、静的肺活量(Slow Vital Capacity:SVC)による呼吸機能評価、ハンドヘルドダイナモメトリー(Handheld Dynamometry :HHD)による筋力評価、ALSFRS-Rによる機能評価、ALS Assessment Questionnaire(ALSAQ-5)による生活の質(QOL)評価、脳脊髄液(cerebrospinal fluid:CSF)中のNfL濃度およびFUSタンパク質などが含まれます。

なお、今回発表した速報結果は、Part 1で実施した主要解析に基づくものです。

FUS-ALSについて

FUS-ALSは、ALSの希少な病型であり、小児や若年を含む幅広い年齢層で発症し、多くの場合急速に進行します。FUS遺伝子の病的変異によって引き起こされるALSのサブタイプであり、全ALS患者さんの約0.6%を占めると推定されています1。FUS変異は、小児および若年期に発症するALS症例において高頻度で認められ、43~52%を占めると報告されています3。このFUS変異により、運動ニューロン内に有害なFUSタンパク質が蓄積し、神経変性が引き起こされます2。特に早期発症例や若年発症例においては、症状出現から1~2年以内に呼吸不全や死亡にいたることもある1など、急速な経過をたどる場合があります。

診断には専門的な臨床評価に加え、遺伝子検査が必要となります4

現在、FUS-ALSの根本原因であるFUS遺伝子変異を標的とした承認治療薬はなく、有効な治療選択肢に対する大きなアンメット・メディカル・ニーズが存在しています。

ウレフネルセンについて
ウレフネルセンは、アイオニス社によって創製されたRNAを標的とする開発中の治療薬です。FUS-ALS患者さんにおいて、FUS pre-messenger RNA(pre-mRNA)に結合し、FUSタンパク質の産生を抑制するよう設計されました。本剤は髄腔内に投与し、直接中枢神経系へ届けられます。FUS mRNA量を減少させることで、FUS-ALSにおける運動ニューロンの変性に関与する変異型を含むFUSタンパク質の産生を抑制することを目的としており、FUS-ALSの根本的な原因である遺伝子変異を標的とする新たな治療アプローチとして期待されています。

現在、ウレフネルセンは臨床開発段階にあり、FUS-ALS患者さんを対象としたグローバル共同フェーズ1-3試験において評価されています。

大塚製薬は2024年にアイオニス社とのライセンス契約を締結し、本剤の全世界を対象とした独占的製造販売権を取得していますが、ウレフネルセンは開発中の医薬品であり、米国食品医薬品局(FDA)を含む世界のいずれの規制当局からも承認を受けていません。

なお、本剤は、FUS-ALSを対象として米国食品医薬品局(FDA)よりFast Track指定を受けているほか、ALSを対象としてFDA、欧州医薬品庁(EMA)およびスイス医薬品局(Swissmedic)よりオーファンドラッグ指定を受けています。

大塚製薬について

大塚製薬は、一人ひとりの可能性に向き合うトータルヘルスケアカンパニーです。"Otsuka-people creating new products for better health worldwide"の企業理念のもと、未充足の医療ニーズに新たな価値を提供する医療関連事業と、科学的根拠をもった独創的な製品やサービスにより日々の健康維持・増進をサポートするニュートラシューティカルズ関連事業を通じて、人々のウェルビーイングの実現に向けて取り組んでいます。 詳細はコーポレートサイトwww.otsuka.co.jpをご覧ください。