大塚製薬株式会社
注意欠如・多動症(ADHD)治療薬「SIMTRIYO®(センタナファジン)」フェーズ3b試験の追加解析結果をPsych Congress 2026で発表
大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上 眞、以下「大塚製薬」)および米国子会社のOtsuka Pharmaceutical Development & Commercialization, Inc.(所在地:米国ニュージャージー州・プリンストン、以下「OPDC」)は、米国ルイジアナ州ニューオーリンズで開催されたPsych Congress 2026にて、不安症を併発する成人の注意欠如・多動症(ADHD)患者を対象に「SIMTRIYO®(一般名:センタナファジン塩酸塩、以下「センタナファジン」)」を評価したフェーズ3b試験(NCT06973577)の新たな結果を発表しました。当結果は、本年6月に発表したトップライン結果の追加解析によるもので、不安症を併発する成人ADHD患者という臨床的に複雑な患者集団におけるセンタナファジンの臨床プロファイルについて、これまでで最も包括的な評価を示すものです。評価項目には、ADHDの中核症状および不安症状に加え、実行機能、情動調節不全、ならびに医師および患者による全般評価が含まれます。(フェーズ3b試験: 実臨床に近いデータの収集・補完を目的として承認申請前後に実施される臨床試験)
本フェーズ3b試験は、ADHDに加え全般不安症(GAD)および/または社交不安症(SAD)を併発する18~65歳の成人患者315例を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照試験です。患者はセンタナファジン群とプラセボ群に割り付けられ、8週間にわたり投与を受けました。
■ ADHDおよび不安症の中核症状に対する結果 (6/25プレスリリース)
主要評価項目である投与8週時点の「Adult Investigator Symptom Rating Scale(AISRS)」総スコアのベースラインからの変化量において、センタナファジン群はプラセボ群と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました[最小二乗平均値変化量: -18.48 vs -12.62、群間差 -5.87; p<0.0001]。併発する不安症状についても、主要副次評価項目である「ハミルトン不安評価尺度(HAM-A)」総スコアのベースラインからの変化量において、センタナファジン群はプラセボ群と比較して統計学的に有意な改善が認められました[最小二乗平均値変化量: -12.55 vs プラセボ群 -10.63、群間差 -1.92; p=0.0244]。
■ 事前規定された3つの追加解析による結果: 実行機能、情動調節、医師・患者による全般印象評価
1) 自己記入式症状評価尺度の拡張版であるASRS-31において、センタナファジン群は8週時点で、ADHDの中核症状に加え、日常生活機能に影響を及ぼす実行機能障害および情動調節不全といった関連症状においてもプラセボ群と比較して大きな改善を示しました。
8週時点におけるベースラインからの最小二乗平均変化量(センタナファジン群 vs プラセボ群)
- ASRS-18総スコア [-23.10 vs -15.80、群間差 -7.26; p =0.0002]
- 多動性・衝動性サブスケール [-10.90 vs -7.49、群間差 -3.42; p=0.0009]
- 不注意サブスケール [-12.20 vs -8.36、群間差 -3.8; p=0.0002]
- 実行機能障害サブスケール [-10.10 vs -7.22、群間差 -2.89; p<0.0048]
- 情動調節不全サブスケール [ -4.00 vs -3.04、群間差 -0.95; p<0.0484]
- ASRS-18(Adult ADHD Self-Report Scale)は成人ADHDの症状を評価する18項目からなる自己記入式症状評価尺度。成人ADHD症状を評価する31項目からなる患者自己記入式尺度であるASRS-31(Adult ADHD Self-Report Scale Expanded Version)は、ASRS-18の評価項目を拡張し、ADHDに関連する症状や日常生活機能への影響も含めて包括的に評価する。スコアの低下は症状の改善を示す。
2) 成人の実行機能を評価するBRIEF-Aの総合スコアである全般的実行機能総合指数GECにおいて、センタナファジン群はプラセボ群と比較して統計学的に有意な改善を示しました。改善は投与1週時点から認められました。日常生活における行動や情動の自己管理能力を反映する行動調整指数BRIにおいても同様の改善が認められました。
8週時点におけるベースラインからの最小二乗平均変化量(センタナファジン群 vs プラセボ群)
- GEC [-17.73 vs -13.46、群間差 -4.3; p=0.0126]
- BRI [-14.27 vs -10.20、群間差 -4.1; p=0.0086]
- BRIEF-A(Behavior Rating Inventory of Executive Function-Adult Version)は、成人の実行機能を評価する自己記入式質問票。GEC(Global Executive Composite:全般的実行機能総合指数)はBRIEF-Aから算出される総合スコアであり、抑制、自己モニタリング、情動制御、課題開始、ワーキングメモリー、計画・組織化など複数の実行機能領域を総合的に反映する。スコアの低下は実行機能の改善を示す。BRI(Behavioral Regulation Index:行動調整指数)は、BRIEF-Aから算出される指標の一つであり、抑制、自己モニタリング、情動制御などに基づき、衝動的な行動を抑えたり、感情をコントロールしたりする能力を評価する。スコアの低下は行動調整機能の改善を示す。
3) ADHDおよび不安症状について、医師による臨床全般印象評価(CGI)ならびに患者による全般印象評価(PGI)において、センタナファジン群はプラセボ群と比較してより大きな改善を示しました。これらの結果は、担当医師および患者自身の双方が、臨床的に意義のある改善を認識していたことを示しています。
8週時点におけるベースラインからの最小二乗平均変化量(センタナファジン群 vs プラセボ群)
- ADHDに対するCGI-S [-1.51 vs -1.00、群間差 -0.51; p=0.0002]
- ADHDに対するPGI-S [-1.80 vs -1.30、群間差 -0.50; p=0.0033]
- 不安症状に対するCGI-S [-1.51 vs -1.22、群間差 -0.29; p=0.0261]
- 不安症状に対するPGI-S [-1.65 vs -1.28、群間差 -0.38; p=0.0267]
- CGI-S(Clinical Global Impressions-Severity)は医師が、PGI-S(Patient Global Impressions -Severity)は患者自身が、ADHDや不安症状の重症度を総合的に評価する尺度。ベースラインからの変化量が負の値で大きいほど、症状の改善が大きいことを示す。
ADHDと不安症を併発する患者集団におけるセンタナファジンの安全性と忍容性プロファイルは、これまでに報告されているものと一貫していました。センタナファジン群で発現率が5%以上で、プラセボ群より多く認められた主な有害事象は、悪心(17.2% vs 5.7%)、食欲減退(13.4% vs 3.2%)、下痢(10.2% vs 3.2%)でした。
ルイジアナ州立大学健康科学センターおよびチューレーン大学医療センターの准教授であるCorey Hébert博士は、「ADHDと不安症を併発する成人患者さんは、自身の疾患を単一の症状として捉えているわけではありません。注意力の問題、不安、物事を整理することの難しさ、情動の不安定さなど、複数の課題を同時に抱えています。今回の結果で注目すべき点は、医師による評価、患者さん自身による評価、あるいは日常生活における実行機能の評価などの観点から本患者集団を評価しても、一貫して同様の結果が得られたことです。このような一貫性は、新たな治療選択肢が実臨床において患者さんの生活の改善につながる可能性を判断する上で重要な要素です」と述べています。
OPDCの上級副社長兼医学責任者John Krausは、「大塚製薬は、ADHDから統合失調症に至るまで、中枢神経疾患および精神疾患領域における未充足の医療ニーズに応えるため、それぞれの疾患の複雑性を踏まえた革新的な研究開発を推進しています。本年のPsych Congressにおける発表内容の幅広さは、精神疾患領域にわたる当社の継続的な取り組みを示すものです」と述べています。
SIMTRIYO(センタナファジン)は、本年7月に米国食品医薬品局(FDA)よりADHD治療薬として承認を取得した、ノルエピネフリン、ドパミン、セロトニンの再取り込みを阻害するNDSRI(norepinephrine, dopamine, and serotonin reuptake inhibitor)であり、米国においてはcentral nervous system stimulantに分類されます。ADHDの治療領域において初めて承認されたNDSRIであり、新しい作用機序を有するファースト・イン・クラスの治療薬です。現在、米国麻薬取締局(DEA)による規制区分の審査が進められています。
ADHDおよび不安症について
ADHDは、主に「不注意」「多動性・衝動性」を特徴とする慢性的な神経発達症(発達障害)の一種です1。米疾病予防管理センター(CDC:Centers for Disease Control and Prevention)は、米国において約700万人の子どもと推定約1,550万人の成人がADHDを有していると報告しています2,3。成人ADHD患者さんの最大50%が不安症を併発しており、これらの患者さんでは入院率、自殺傾向、精神病症状の発現率が高いことが報告されています4-6。また、ADHDと不安症を併発する患者さんは、臨床症状がより重く、職業面での達成度が低いほか、生活の質(QOL)の低下を経験することがあります6,7。
SIMTRIYO®(センタナファジン)について
SIMTRIYOは、脳内の神経伝達物質である3つのモノアミン(ノルエピネフリン、ドパミン、セロトニン)の再取り込みを阻害するNDSRI(norepinephrine, dopamine, and serotonin reuptake inhibitor)で、米国においてはcentral nervous system stimulantに分類されます。SIMTRIYOは、ADHDの治療領域において初めて承認されたNDSRIであり、新しい作用機序を有するファースト・イン・クラスの治療薬です。
大塚製薬について
大塚製薬は、一人ひとりの可能性に向き合うトータルヘルスケアカンパニーです。"Otsuka-people creating new products for better health worldwide"の企業理念のもと、未充足の医療ニーズに新たな価値を提供する医療関連事業と、科学的根拠をもった独創的な製品やサービスにより日々の健康維持・増進をサポートするニュートラシューティカルズ関連事業を通じて、人々のウェルビーイングの実現に向けて取り組んでいます。 詳細はコーポレートサイト www.otsuka.co.jp をご覧ください。
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