大塚製薬株式会社
IgA腎症治療薬「VOYXACT®(シベプレンリマブ)」 米国腎臓学会(ASN)でフェーズ3試験の最終結果を発表
- フェーズ3(VISIONARY)試験において、シベプレンリマブ群はプラセボ群と比較して、2年間にわたり腎機能低下または腎不全からなる複合腎イベントの発現リスクを97.1%低減した
- VISIONARY試験では、事前に規定したすべてのサブグループにおいて2年間にわたる持続的な腎機能維持効果が示された。これにより、本試験結果の一貫性が示されるとともに、IgA腎症における疾患修飾治療としての選択的APRIL阻害の役割が支持された
- シベプレンリマブ群は、2年間にわたりプラセボ群と比較して良好な安全性および忍容性を示し、治療薬として良好な臨床プロファイルを有することが示唆された
- この結果は、同日、「The New England Journal of Medicine(NEJM)」に掲載された
- 大塚製薬は、10月6日(米国時間)、VOYXACT®の正式承認取得に向け、米国食品医薬品局(FDA)に対する生物製剤承認一部変更申請(sBLA)の段階的提出を完了した
大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:井上 眞、以下「大塚製薬」)および米国子会社であるOtsuka Pharmaceutical Development & Commercialization, Inc.(所在地:米国ニュージャージー州・プリンストン、以下「OPDC」)は、10月22日(米国時間)、VOYXACT®(一般名:シベプレンリマブ)のIgA腎症を対象としたフェーズ3(VISIONARY)試験における2年間(24カ月)の最終解析結果を、 2026年10月21日から25日までコロラド州デンバーで開催されている米国腎臓学会(ASN:American Society of Nephrology)年次学術集会「Kidney Week 2026」におけるOpening Plenary Sessionでの口頭発表、Late-Breaking Poster発表、およびASNプレスプログラムで発表しましたので、お知らせします。
この研究結果はThe New England Journal of Medicine(NEJM)にも同時掲載されています。
VISIONARY試験において、シベプレンリマブ群は持続的な腎機能維持効果を示し、プラセボ群と比較して、腎機能低下または腎不全からなる複合腎イベントの発現リスクを97.1%低減しました。本試験は、IgA腎症を対象としたフェーズ3試験として最大規模の患者集団を2年間にわたり評価したものであり、その結果はシベプレンリマブの有効性を支持する強固なエビデンスとなりました。これらの結果は、疾患進行リスクを有する成人の原発性IgA腎症患者において、臨床的に意義のあるベネフィットを示すものです。また、本試験は、IgA腎症を対象としたフェーズ3試験として初めて、腎臓病治療の国際ガイドライン(KDIGO2025)1で示された「年間の腎機能低下を正常な速度(1 mL/min/1.73 m²/年未満)に抑える」という治療目標を達成し、実質的な疾患進行の抑制を示しました。
【VISIONARY試験の最終解析結果(ASNでの発表要旨)】
- 510例の患者を対象とした無作為化比較試験において、腎機能低下または腎不全からなる複合腎イベントは、シベプレンリマブ群259例中1例(0.4%)、プラセボ群251例中28例(11.2%)で認められました。これは、シベプレンリマブ群において複合腎イベントの発生リスクがプラセボ群と比較して97.1%低減したことを示しています。
- 複合腎イベントを構成する各評価項目においても、一貫してシベプレンリマブ群で良好な結果が認められました。eGFR(推算糸球体濾過量)が40%以上持続的に低下した症例はシベプレンリマブ群で1例、プラセボ群で28例に認められました。また、血清クレアチニン値が持続的に2倍まで上昇した症例は、シベプレンリマブ群では認められなかったのに対し、プラセボ群では13例で発現しました。さらに、eGFRが15 mL/min/1.73 m²未満となる持続的な腎機能低下は、シベプレンリマブ群で1例、プラセボ群で10例に認められました。加えて、腎代替療法を開始した患者は、シベプレンリマブ群では認められなかった一方、プラセボ群では5例でした。
- シベプレンリマブはタンパク尿の持続的な減少も示し、24カ月時点における24時間尿蛋白/クレアチニン比(uPCR)は61.3%低下しました。また、ベースライン時に血尿を有していた患者において、尿試験紙法で血尿陰性化が認められた割合は、シベプレンリマブ投与群で78.6%であったのに対し、プラセボ群では20.2%でした。
- シベプレンリマブの安全性プロファイルは24カ月間を通じて一貫しており、プラセボ群と同程度でした。全有害事象の発現率(90.7% vs 90.0%)、感染症および寄生虫症の発現率(51.4% vs 51.0%)、ならびに注射部位反応の発現率(35.1% vs 32.3%)は両群で同程度でした。また、新たな安全性上の懸念は認められませんでした。重篤な感染症の発現率はシベプレンリマブ群でプラセボ群より低く(1.9% vs 4.0%)、重篤または重度の有害事象ならびに治療中止の発現率についてもシベプレンリマブ群で低い結果が認められました。
【GlomCon Hawaii 2026での発表内容(既公表)】
- 2026年8月に開催されたGlomCon Hawaii 2026において発表したとおり、VISIONARY試験では主要な副次評価項目を達成しました。年間eGFRスロープは、シベプレンリマブ群で+0.3 mL/min/1.73 m²/年(95%信頼区間:−0.4~0.9)であったのに対し、プラセボ群では−4.2 mL/min/1.73 m²/年(95%信頼区間:−4.9~−3.6)となり、24カ月時点において+4.5 mL/min/1.73 m²/年(95%信頼区間:3.6~5.4、p<0.0001)の統計学的に有意な治療効果が示されました。
- また、シベプレンリマブの治療効果は、スクリーニング時の24時間尿蛋白/クレアチニン比(uPCR)、eGFR、およびSGLT2阻害薬使用の有無といった事前に規定された層別化因子の各サブグループにおいて一貫して認められ、幅広いIgA腎症患者への適用を支持する結果が得られています。
- さらに、24カ月時点におけるeGFRのベースラインからの最小二乗平均変化量は、シベプレンリマブ群で+1.3 mL/min/1.73 m²(95%信頼区間:−0.3~2.8)であったのに対し、プラセボ群では−7.9 mL/min/1.73 m²(95%信頼区間:−9.5~−6.4)でした。群間差は+9.2 mL/min/1.73 m²(95%信頼区間:7.1~11.4、p<0.0001)となり、シベプレンリマブによる腎機能維持効果が示されました。
これらの結果は、選択的APRIL阻害がIgA腎症に対する疾患修飾療法として有望な治療アプローチであることを支持するものです2,3,4。また、シベプレンリマブの臨床的ベネフィットは、抗薬物抗体または中和抗体の有無にかかわらず維持されました。さらに、24カ月間にわたり確認されたベネフィット・リスクプロファイルは、選択的APRIL阻害作用および免疫グロブリン値の低下が維持される一方で、感染症リスクの増加や新たな安全性上の懸念は認められなかったことを示しています。
大塚製薬は、VISIONARY試験に参加された患者さんとそのご家族、患者支援団体の皆さま、ならびに試験に携わられた関係者の皆さまに深く感謝いたします。
アラバマ大学バーミンガム校腎臓内科のDana Rizk教授(VISIONARY試験の治験責任医師兼運営委員会共同委員長)は、「IgA腎症患者さんにとって、腎機能の維持と腎不全への進行抑制は最も重要な治療目標です。VISIONARY試験では、これまでに報告されたIgA腎症を対象とするフェーズ3試験として最大規模のデータセットにおいて、KDIGOが示すeGFRの治療目標に合致する2年間にわたる持続的な腎機能の安定化を実証しました。さらに、腎不全関連イベントの発現リスクを97.1%低減することが示されました。これらの結果の一貫性と効果の大きさは、シベプレンリマブが顕著な治療効果をもたらすことを裏付ける強力なエビデンスであり、医療従事者に大きな確信を与えるものです。今回の結果は、選択的APRIL阻害がIgA腎症の長期的な疾患経過を変え、この進行性疾患とともに生きる患者さんに新たな治療の可能性をもたらすことを示唆しています」と述べています。
OPDCの上級副社長兼医学責任者であるJohn Krausは、「VISIONARY試験の結果は、IgA腎症とともに生きる患者さんにとって新たな可能性を示すものです。シベプレンリマブは、2年間にわたり腎機能の持続的な安定化を実現するとともに、腎機能低下または腎不全からなる複合腎イベントの発現リスクを大幅に低減し、プラセボと同程度の安全性プロファイルを示しました。腎アウトカム試験では極めてまれな大きく持続的なKaplan-Meier曲線の乖離、良好なeGFRスロープ、そして2025年KDIGOが示す治療目標の達成は、選択的APRIL阻害による疾患修飾効果が腎機能の維持につながることを裏付ける強力なエビデンスです。さらに、APRILがIgA腎症の病態形成を担う重要な因子であることが改めて支持されました。これらの結果は、選択的APRIL阻害が本疾患の治療アプローチを変革する可能性を示すものです。なお、本試験結果は『New England Journal of Medicine』に同時掲載されています」と述べています。
なおVOYXACTは、"進行リスクのある成人のIgA腎症におけるタンパク尿の減少"の効能で、2025年11月に米国食品医薬品局(FDA)より迅速承認を取得しています。VISIONARY試験の終了に伴い、本年10月6日(米国時間)、本剤の正式承認取得に向け、米国FDAに対する生物製剤承認一部変更申請(sBLA)の段階的提出を完了しています。
【フェーズ3(VISIONARY)試験について】
フェーズ3(VISIONARY)試験(NCT 05248646)は、疾患進行リスクを有する原発性IgA腎症成人患者さんを対象としたグローバルな多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験です。
主要評価項目では、投与9カ月時点における24時間尿におけるuPCR(尿蛋白/クレアチニン比)のベースラインからの変化を用いて、プラセボ群と比較したタンパク尿の減少を評価しました。
主要副次評価項目では、24カ月(2年間)にわたるeGFR slopeの年間変化率を評価し、経時的な腎機能の変化を評価しました。また、24カ月時点におけるeGFRのベースラインからの最小二乗平均変化量も副次評価項目として評価され、あらかじめ定められた時点における全体的な治療効果を補完的に評価しました1,2。本開発プログラムでは、IgA腎症に関する科学的知見のさらなる蓄積を進めており、現在実施中の非盲検長期継続試験(NCT05248659)から今後追加データが得られる予定です。
【IgA(免疫グロブリンA)腎症について】
IgA(アイ・ジー・エー)腎症は、通常は20~40歳代の成人に比較的多く発症します。本疾患は、免疫複合体が腎臓に沈着することで、進行性の腎機能低下を引き起こし、最終的には末期腎不全にいたる可能性があることから、患者さんに大きな負担をもたらします5-7。腎機能障害の進行を抑制する各種の治療が行われているものの、この疾患の根本原因に対処する治療法には未充足の医療ニーズが存在しています8。
【VOYXACT(一般名:シベプレンリマブ)について】
VOYXACTは、米国FDAの承認を取得した初めての、かつ現在唯一の選択的APRIL阻害薬であり、IgA腎症の疾患進行に関与する主要な病態メカニズムを標的とする治療薬です2。VOYXACTは、フェーズ3 VISIONARY試験において、9カ月時点でプラセボ群と比較してタンパク尿を統計学的に有意に減少させるという主要評価項目を達成したことを受け、2025年11月に米国FDAより迅速承認を取得しました。今回得られた2年間(24カ月)のeGFRに関する主要副次評価項目の結果は、選択的APRIL阻害がIgA腎症に対する標的治療アプローチとして有用であることを裏付けるものです。これらの結果は、これまでに確認されているガラクトース欠損IgA1(Gd-IgA1)の減少、タンパク尿の改善、および血尿の改善に関する知見をさらに補強するものであり、VOYXACTがIgA腎症の疾患経過そのものに影響を与え、患者さんの長期的な臨床転帰を改善する可能性を示しています2,8,9。VISIONARY試験の完了は、VOYXACTの正式承認に向けた米国FDAへの生物製剤承認一部変更申請(sBLA)の段階的提出における、重要なマイルストーンです。
大塚製薬について
大塚製薬は、一人ひとりの可能性に向き合うトータルヘルスケアカンパニーです。"Otsuka-people creating new products for better health worldwide"の企業理念のもと、未充足の医療ニーズに新たな価値を提供する医療関連事業と、科学的根拠をもった独創的な製品やサービスにより日々の健康維持・増進をサポートするニュートラシューティカルズ関連事業を通じて、人々のウェルビーイングの実現に向けて取り組んでいます。 詳細はコーポレートサイトwww.otsuka.co.jpをご覧ください。
- 1. Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) IgAN and IgAV Work Group. KDIGO 2025 Clinical Practice Guideline for the Management of Immunoglobulin A Nephropathy (IgAN) and Immunoglobulin A Vasculitis (IgAV). Kidney Int. 2025;108(4S):S1-S71.
- 2. Perkovic, V., Trimarchi, H., Tesar, V., Lafayette, R., Wong, M. G., Barratt, J., Suzuki, Y., Liew, A., Zhang, H., Carroll, K., Jha, V., Quevedo, A., Han, S. H., Praga, M., Chacko, B., Sahay, M., Cheung, C. K., Kooienga, L., Walsh, M., ... Rizk, D. V. (2026). Sibeprenlimab in IGA nephropathy -- interim analysis of a phase 3 trial. New England Journal of Medicine, 394(7), 635-646. https://doi.org/10.1056/nejmoa2512133
- 3. Hitoshi Suzuki, et. al. WCN26-6808 EFFECT OF SIBEPRENLIMAB ON MICROSCOPIC HEMATURIA IN ADULTS WITH IgA NEPHROPATHY: INTERIM ANALYSIS OF THE "VISIONARY" PHASE 3 TRIAL, Kidney International Reports, Volume 11, Issue 4, Supplement, 2026, 106279, ISSN 24680249, https://doi.org/10.1016/j.ekir.2026.106279.
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- 5. Pitcher, D. Braddon, et. al Long-term outcomes in IGA nephropathy. Clinical journal of the American Society of Nephrology: CJASN. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37055195/.
- 6. Cheung, Chee Kay & Boyd, JKF & Feehally, J.. (2012). Evaluation and management of IgA nephropathy. Clinical Medicine. 12. s27-s30. 10.7861/clinmedicine.12-6-s27.
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- 9. Chang S, Li XK. The Role of Immune Modulation in Pathogenesis of IgA Nephropathy (nih.gov)