血液を知る
血液の役割
ヒトの体の中には隅々まで血管が張りめぐらされています。その中を流れているのが血液で、体重の約8%を占めます。つまり、体重50kgの方の場合、約4Lの血液が流れていることになります。
血液の役割は主に、①栄養素や酸素などを体中に届け、二酸化炭素などを回収する「物質の運搬」、②体外から侵入した病原体・異物や体内の壊れた組織・異常な細胞を排除する「生体防御」、③傷ついた血管を修復し、血液が血管外に流れるのを防ぐ「止血」、④環境の変化に関わらず体温や血液の酸性・アルカリ性(pH)を一定に保つ「内部環境の調節」の4つがあります。
血液の役割
これらはどれもヒトの体を維持するために必要な役割であり、血液は生命の維持に重要な存在といえます。
血液の構成成分
血液は血しょう(液体成分:約55%)と血球(細胞成分:約45%)からできています。血しょうは血液の液体成分で、電解質、栄養素、ホルモン、アルブミンやグロブリンなどのタンパク質が含まれています。また、血球は血液に含まれる細胞のことで、主に赤血球、白血球、血小板に分類することができます。
赤血球は血球の9割以上を占め、「酸素や二酸化炭素の運搬」に関係しています。赤血球の中には赤色のヘモグロビンというタンパク質が入っており、ヘモグロビンが酸素と結びつく性質を利用して体中に酸素を運搬しています。また、赤血球は体中をめぐる中で不要になった二酸化炭素の回収も行っています。
白血球は大きく顆粒球、単球、リンパ球に分けることができます。さらに、顆粒球は好中球、好酸球、好塩基球に、リンパ球はB細胞、T細胞、NK細胞に細かく分類されます。どれも主に「生体防御」に関係しています。
血小板は血管が傷ついたとき、絆創膏のように傷をふさぐ「止血」の役割を担っています。
血液の構成
血球の成り立ち
すべての血球は、骨髄の中にある「血球のもとになる細胞(造血幹細胞)」から、前駆細胞、成熟血球へと細胞が育つ(成熟する)ことでつくられています。この過程でつくられた成熟血球である赤血球、白血球、血小板は、骨髄から出て血管や組織の中でそれぞれの役割を持つようになります。このように血液細胞が成熟していく過程を血球の分化といいます。
血球の分化
血球の分化は、造血幹細胞が骨髄系、リンパ系いずれかの前駆細胞へ分かれることから始まります。骨髄系の前駆細胞からは赤血球、血小板、そして白血球のうち単球と顆粒球が、リンパ系の前駆細胞からは白血球のうちリンパ球(B細胞、T細胞、NK細胞)がつくられます。