パリで〝入賞〟目指す田澤廉
どんな状況でも外さない日本長距離界の至宝
田澤 廉 選手(陸上)
白樺学園高校(スピードスケート)
スイスの古都・ローザンヌ。歴史ある文化都市で、21世紀生まれの2人の高校生が1月、世界一になった。
蟻戸一永選手(3年)と山本悠乃選手(2年)が第3回冬季ユースオリンピックのスピードスケート男子1500メートル、500メートルで、それぞれ優勝。原則として15~18歳を対象とし、4年に一度行われる祭典で金メダルを獲得した。
遠くヨーロッパで世界一を叶えた2人が普段過ごすのは、同じ学び舎。北海道・帯広にある、白樺学園高校である。
「ユースオリンピックのスピードスケートで日本の男子は金メダルを獲ったことがなかった。そういう意味で2人は金メダルを獲ることを目標にして、海外という難しいコンディションで(両名ともに)すごくいいパフォーマンスをしてくれたと思います」
同校スピードスケート部を指導する和田貴志監督は、日本人初の快挙を演じた2人について語ると、声を弾ませた。
長野五輪スピードスケート男子500メートルで日本人初の金メダリストとなった清水宏保のほか、堀井学、大菅小百合ら、男女問わず多くの五輪選手を輩出した名門に芽吹いた2つの新たな才能はいかにして、世界で花開いたのか。
直面した課題は2つある。一つは環境への順応だ。
海外遠征には、言葉、食事、気候といった日本との違いがついて回る。ヨーロッパは日本と昼夜が逆転し、時差もある。特に、今回は屋外リンクのため、天候によって氷のコンディションも変わる。大会運営も予期せぬアクシデントが日常茶飯事だ。
しかし、こういう時こそ白樺学園の強さが表れる。和田監督は言う。
「うちは『どんな状況であっても対応できるように』と選手たちに教えています。条件が悪ければ悪いほど、周りの選手はモチベーションが下がったり、気持ちのコントロールが難しかったりするものですから」
だから、屋外リンクで雨が降ったり、練習スケジュールが変更になったりしても「むしろ、チャンスと思え」が部の鉄則。そこで、大事なことは「逆境」を「好機」と思える、心の強さ。普段から取り組んでいることがある。
一気に追い込む「鍛錬期」。2週間は厳しいトレーニングを積み(ハードウィーク)、1週間はゆとりをもたせる(イージーウィーク)。ハードウィークは指導者が「もっとやれよ!」「何やってるんだ」と発破をかけ、負荷をかけることが一般的だ。
ただ、白樺学園のスタイルは対極にある。練習メニューを与え、その狙いと効果を丁寧に説明する。あとは「自分でやれ」。他人に言われてやるのではなく、自分で追い込むことを求めている。
「普段から自分で高い意識を持って取り組んでないと、このチームでは強くなれないという状況を作ってトレーニングをやっている」と和田監督。そんな教えで、強い心が育っていたから海外の環境であっても揺らぐことはなく、順応できた。
そして、もう一つはコンディショニング。実は、これが難しい。チームには、監督が選手に口酸っぱく言っていることがある。
「スタートラインに立った時、結果はもう決まっている」
スピードスケートは強靭な太ももを作り上げる練習量と、高速でコーナーを回る技術力でタイムを競うイメージがあるが、実は「メンタルのスポーツ」。コンディションが整わないと「1本にすべてを出し切る」という負荷の高い競技性で勝ち続けることができない。
乳酸が溜まるレース中盤以降、自分をどれだけコントロールし、気持ちを切らさずにゴールまで滑り切るかが勝敗を分けるが、体調が悪ければ、体よりも先に心がスタミナ切れしてしまう。
「すごく大事なのは現地に入って、最初の1週間。体を動かし始め、動いてきたな、慣れてきたなというタイミングと、心拍数を上げるトレーニングを入れるタイミングを間違うと、2、3週間の遠征でも調子上がらないままということもあり得るんです」
和田監督が言うように、繊細な調整が求められる海外遠征。特に、高校生は初めての海外だと、気持ちが入りすぎてしまい、早く調整の強度を上げたがる。しかし、「いかにコンディショニングを上手くコントロールするか」と指揮官は説く。
「体もそうだし、テクニックや道具の調整、気持ちもそう。3つをバランス良く、いい状態に仕上げないと、いくら体が動いても気持ちが乗ってない、気持ちが乗っても体が動かない、ということになる。『それが揃わないと、どんなに強い選手でも勝てないよ』と言っています」
心も体も、整える。前提として必要なのは、日頃から良い健康状態を保つこと。「ボディメンテ ゼリー」も、その一つだ。
スピードスケートをしている高校生にとって重要なレースとなる、全日本ジュニア選手権が行われる1月上旬から、全国高校選手権が行われる1月中旬がシーズンのピーク。トップ選手ほど、気持ちを高め、練習で追い込み、結果的に体脂肪が落ちてしまう。
「そうなると、体調維持が難しくなる」と和田監督。対策といえば、手洗いうがいに、室内では加湿器を使用するくらいしかなかったが、チームに導入した「ボディメンテ ゼリー」の存在は大きい。
練習から選手たちは日常的に摂取。「体調の波が少なくなったと感じました」と山本選手が言うように、今季はシーズン中に体調不良を訴える選手が出なかったという。指導してきた監督も効果を実感している。
「子供たちにとって一番怖いものが感染症。いくら頑張っていても、一度かかってしまえば2、3週間、調子が上がらないことになる。ボディメンテ ゼリーを長期的、継続的に使っていくことで、一番大事な期間に体調が維持できた。それは結果なのかなと思います」
「結果はもう決まっている」スタートラインに立つ時、常に良いコンディションを保ち続けることができた。その成果があって、ローザンヌともう一つ、快挙を果たした場所があった。
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