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INTERVIEW

インタビュー

なぜ、塩谷司はUAEで
戦い続けるのか
気温40度超える中東の
激闘を支えるもの

塩谷 司 選手(サッカー)

ー 驚きを呼んだ挑戦、UAE強豪アル・アインで3季目を迎える30歳塩谷司を支えるもの

灼熱の中東、UAEでプレーする一人のサッカー選手がいる。塩谷司、30歳。日本代表を経験した名DFは8月から強豪アル・アインで3年目のシーズンを迎える。「1年目は文化も分からず、なんとなく過ごして終わった。2年目は言葉もできるようになり、楽しくなってきた。3年目でまだまだ楽しめる。もっとできるんじゃないか」と期待を膨らませる。

挑戦の始まりは驚きだった。2012年途中に移籍したJ1サンフレッチェ広島で2013年のリーグ連覇に貢献。DFながら6得点を記録した2014年にはベストイレブンに選ばれ、不動の地位を築いた。同年に日本代表デビュー、2016年リオデジャネイロ五輪にオーバーエイジで出場。そして、28歳だった2017年、新天地に求めたのはUAEだった。なぜ、日本人に馴染みの薄い国を選んだのか。

「一番は海外でプレーしたかったこと。当時、国内なら広島以外でプレーするつもりはなく、移籍するなら海外と決めていました。そんな時にオファーがあったのがアル・アイン。どんな環境でどんな生活になるのか分からず、最初は悩みましたが、偶然、向こうにJリーグを経験した外国人選手が何人かいたので、コンタクトを取って情報を聞き、最終的に決断しました」

一番の懸念は中東の治安。妻と子供2人を連れていくとあって心配もしたが、経験者の助言を聞き、日本人選手としては3人目となるUAEへの移籍を決めた。しかし、実際に聞いていた情報とのギャップは大きかった。最も驚かされたのは、気候の問題。夏は40度を超え、日中は50度に迫ることもある。

「シーズンが始まる8月中旬は40度を超えている中で試合をすることもたくさんある。湿度が低いので、助かることもある一方、42、3度でプレーすることは珍しくない。日中の暑さを避け、練習、試合は基本的に夜。日本での練習はだいたい午前なので、生活のリズムを合わせるのが、最初は大変でしたね」

練習が午後7時半から始まることもある。一日の最後に練習するというサイクルは慣れず、苦労も多かった。日本では遅くとも午後11時に寝ていたサイクルを遅らせ、午前1、2時に就寝。平均10時間という睡眠を取り、昼前に起きるというパターンに変えた。「暑さは慣れしかない」というが、試合のパフォーマンスには大きく影響した。

「日本にいた時はあまり意識していませんでしたが、練習以外で1日2リットル以上の水分を摂るようにしていました。それでも、40度を超えた試合では最後の5分くらいになると、程度の差こそあれ脱水(症状)が起きる。真っすぐに走れないこともあるくらい。でも、交代枠の3人を使い切っているので、やるしかないという状況の繰り返しです」

そんな環境でも現地の選手は平然とプレーしているというが、なかでも忘れられないエピソードがある。昨シーズンの開幕前、通常は午後8時からやる試合が午後6時から組まれた。まだ明るく、暑さも残る時間帯。塩谷を含め、中東以外の選手は反対したが、同僚は「いいじゃん、早くやって早く帰ろう」と言ってのけたという。