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日常生活における脱水とは?カラダの乾燥と線毛運動の関係

ヒトに備わる防御機能

ウイルスは気温が低く、空気が乾燥する冬の環境下で活性化しますが、こうしたウイルスへの感染を防ぐ防御機能がヒトのカラダには備わっています。
体内への異物の侵入を防ぐバリア機能(物理的バリア機能)と、侵入した異物を排除する免疫システムです。2つの防御機能の中でもバリア機能は最初の防衛ラインとして、皮膚の角質層で病原体をブロックしたり、涙や尿によって異物を排出します。特に気道内にある「線毛」は、呼吸とともに鼻やノドから入り込むウイルスの体内への侵入を防ぐ働きから、最前戦で戦う防御機能のひとつとされています。

感染に対する防御機構

「線毛」の役割

呼吸の際に吸い込んだ空気にはウイルスや細菌などが含まれますが、これらの異物が肺まで届かないように守っているのが、咽喉から肺に至る気道内を覆う粘液と「線毛」です。気道に侵入してきたウイルスなどは粘液で捕らえられると、その下にある「線毛」の動きによって運搬・排除されます。「線毛」は直径1000分の1ミリという毛髪よりもはるかに微細な細胞ながら、気道における防御機能の中心的役割を担っています。

ウイルスからカラダを守る「線毛運動」

鼻からノドまで続く粘膜にびっしりと生えた「線毛」は、1秒間に15~17回程度の速さで波打つように小刻みに動いています。この動きが「線毛運動」で、鼻腔やノドの表面を覆う粘液に捕らえられたウイルスなどは「線毛」によって生じる粘液の流れに取り込まれ、咳やたんとともに体外へ排除されたり、唾液と一緒に飲み込まれ胃液で分解されます。
ウイルスの侵入を阻む「線毛」の弱点の一つが乾燥で、湿度が低い環境ではその運動能力が低下することが知られています。空気の乾燥する冬場はカラダも乾燥しやすく、気道内の粘液が減り粘度が上がることで「線毛」の動きを鈍らせます。
ウイルスなどからカラダを守る「線毛運動」を正常に保つためには、湿度の維持とカラダの水分量を保つことが大切です。

線毛運動の仕組み

残念ながら線毛細胞はインフルエンザなどに感染すると、死滅するとも言われており、再生するまで1ヶ月近くかかることがあります。一度治ったはずの風邪がすぐに再発するようなケースにおいては、線毛細胞が十分に再生されず、ウイルスなどが体内に侵入しやすくなっていることと無関係ではありません。

冬の乾燥期に増加するインフルエンザ

インフルエンザ 定点当たりの患者報告数の推移
定点当たり報告数:医療機関の中から選定し、協力していただいている定点医療機関からのみ報告
ソース:東京都感染症情報センターホームページより

日本におけるインフルエンザの流行は、例年11月頃から始まり、翌年1月~2月頃にピークを迎えます。ウイルスは湿度が40%を下回ると活発になるといわれ、その湿度環境がまさにこの時期です。インフルエンザは風邪と似た症状ですが、異なるウイルスに起因し、全身症状や高熱によって重症化しやすいという特徴があります。命に関わる重篤な合併症を引き起こす可能性もあるので、普段から健康管理に留意した生活習慣や手洗い、マスクの着用、水分補給を心がけるなどの感染対策を徹底しましょう。

水分補給で線毛機能を潤滑に

私たちのカラダにはウイルスへの感染を防ぐ機能があり、その一端を線毛が担っています。線毛は気道内で常に粘液と接しているため、カラダが乾燥しがちな季節には粘液も少なくなり、その動きを鈍らせてしまいます。冬に風邪やインフルエンザにかかりやすくなるのも、この線毛の働きが低下することに一因があります。
鍵となるのは、水分補給です。水分を摂ることで線毛が潤い、本来の機能を維持します。手洗いやうがいもウイルスを取り込まないという点において必要ですが、気道の奥に入ってしまったウイルスなどを追い出すためには水分を補い、カラダの乾燥を防ぐことがとても大切になってきます。体内での水分保持率が高いイオン飲料は、線毛の働きを助けるうえでも効率的な水分補給になると言えるでしょう。
冬の健康管理にウイルス対策は不可欠です。風邪やインフルエンザだけにとどまらないこの冬は、例年以上に重要性が増しています。水分を摂る機会が少なくなりやすい時期だけに、ノドが渇いたと感じる前に飲むなど、こまめな水分補給でカラダの中から潤いを保つことが肝要です。

多賀谷 悦子先生(東京女子医科大学 教授)

研究成果