ビタミン&ミネラル Q&A

ビタミンE

ビタミンEについて

ビタミンEは脂溶性ビタミンのひとつです。ビタミンEの主な生理作用は抗酸化作用で、生体内では細胞膜を酸化障害から守る重要な働きを担っています。ビタミンEを多く含む食品は、種子類、植物油などです。日常的に利用しやすい食品として、アーモンド、サフラワー油、なたね油などがあります。

Q
ビタミンEの天然と合成の表示法や体内での利用の違いを教えてください。
A

天然のビタミンEはD-α-トコフェロールでありD体です。
合成のビタミンEはDL-α-トコフェロールであるDL体です。
DL体は化学構造式として左右対称の構造をしている化合物を同じ量含まれた状態です。

Q
ビタミンEは脂溶性ですが、サプリメントを摂って太りませんか?
A

ビタミンEは脂溶性ビタミンですが、それ自体は脂肪ではありませんのでビタミンEを摂っても太りません。

Q
多価不飽和脂肪を多く含む食品(植物油、揚げた食物、ファーストフードなど)を多く摂る時は、ビタミンEも摂った方がいいと聞きました。何故ですか?
A

ビタミンEは体内で脂溶性の抗酸化剤として作用しており、多価不飽和脂肪酸(PUFA)の酸化を防ぐ作用をもっています。
この作用は食品中でも、生体内でも同じ機構で作用します。即ち、不安定な状態の分子による酸化を防御しています。多価不飽和脂肪酸は、二重結合が増えると、より酸化されやすくなり、余分のビタミンEが必要になります。
そこで、リノール酸(二重結合2つ)よりは、リノレン酸(二重結合3つ)、更には最近流行のEPA(二重結合5つ)、DHA(二重結合6つ)になりますと、より沢山のビタミンEを必要とします。大体、2つと3つでの差が2倍位、3つと4つの差も2倍位と考えていいでしょう。これらの多価不飽和脂肪酸の多くは、生体膜やリポ蛋白質などのリン脂質層に存在しており、これらの酸化を防ぐ作用を膜中のビタミンEが果たしています。それで、食事由来の多価不飽和脂肪酸の摂取量が増すと、ビタミンEの必要量も大きくなります。
この事から、多価不飽和脂肪酸の摂りすぎはビタミンE欠乏症につながる可能性があります。ビタミンEの食物供給源としては、多価不飽和油(綿実油、サフラワー油など)ナッツ類(アーモンド、ヘーゼルナッツなど)、緑黄色野菜(かぼちゃ、ほうれん草など)が挙げられます。
多価不飽和脂肪酸は酸化されやすい性質をもっています。酸化物質に変性すると血管の壁を傷つけたり動脈硬化の原因になったりすることも判っているため、抗酸化作用のあるビタミンEやビタミンCを一緒に摂った方が良いと言われています。
(お茶の水女子大学名誉教授 五十嵐 脩先生の回答)