スポーツ栄養士が答える Q&A 教えて杉島先生!!

イオン飲料(スポーツ飲料)を薄めて飲んでも良いの?

薄めない方が良いです。
イオン飲料(スポーツ飲料)は、そのまま飲むことで運動中に必要な水分・糖分・塩分(電解質)が補給できるように調整されています。ただし、イオン飲料(スポーツ飲料)ならどれでも良いわけではありません。糖質(4~8%)・ナトリウム(40~80㎎/100ml)が含まれているものが良いでしょう。
脱水後の水分回復は、飲料中の糖質量に依存して高くなります。
1. イオン飲料(スポーツ飲料)そのまま
2. イオン飲料(スポーツ飲料)中の糖質のみ半分にしたもの
3. イオン飲料(スポーツ飲料)中の糖質を抜いたもの
※塩分などの電解質は全て同じ
1. >2. >3.

イオン飲料(スポーツ飲料)の電解質をそのままに糖質のみ半分にした場合、運動による脱水からの血漿量の回復に影響することが分かっています。
詳しくはコチラのページも参考にしてください。

このページの先頭へ

ハイポトニック(低張)飲料は体内への水分吸収が速いと
聞いたのですが?

ハイポトニック飲料だからといって必ずしも水分の吸収を速める訳ではありません。
水分吸収は、浸透圧だけではなく、糖質の濃度・種類、電解質の濃度・種類、電解質と糖質の割合などの影響を複合的に受けます。

このページの先頭へ

飲み過ぎは良くないのですか?

飲み過ぎは良くないです。
体重の2%(体重50kgの場合、水分1ℓ)以上の脱水により、運動パフォーマンスが低下することが確認されています。そのため、こまめに水分補給を行い、体重の2%以上脱水させないよう気を付ける必要があります。喉のかわきに応じて、適宜水分を補給することがすすめられます。自由にイオン飲料など水分と塩分を摂取できる環境をつくることが大切です。

ただし、運動前の体重を超えるような水分の摂り方はNGです。水分を摂り過ぎると血液内の電解質濃度が薄まり低ナトリウム血症になる可能性もあります。

このページの先頭へ

女性スポーツ選手で特に気をつけることはありますか?

アメリカスポーツ医学会によると、女性スポーツ選手で特に気をつける健康上の観点として、「女性アスリートの三主徴」があげられています。

三主徴とは、
1. 利用可能エネルギー不足
2. 無月経
3. 骨粗鬆症
です。継続的な激しいトレーニングなどが誘因となり、それぞれの発症が相互に関連しています。

※ 2014 年、国際オリンピック委員会(IOC)は、「RED-S(スポーツにおける相対的エネルギー不足)」という用語を提唱し、これまでの「女性アスリートの三主徴」をRED-Sの一部分として位置づけています。

1. 利用可能エネルギー不足
利用可能なエネルギーは、食事による摂取エネルギーに比べ、運動によって消費されるエネルギー量が過剰となり、基礎代謝や日常活動に使用可能なエネルギー量が不足した状態であることを指します。この状態が続くと、卵巣を刺激する脳からのホルモン(黄体形成ホルモンなど)の分泌低下や骨代謝の低下など身体機能への影響が現れる場合があります。

「利用可能エネルギー」=
「食事の摂取エネルギー」-「運動により消費されるエネルギー」

2. 無月経(月経が3ヶ月以上停止した状態)
国内トップレベルの女性アスリートを対象に実施したアンケート調査では、無月経を含む月経周期異常のある選手の割合は約40%を占めており、運動を起因とした無月経は深刻な問題となっています。国立スポーツ科学センター(JISS)によると、運動性無月経が発生する主な理由として、low energy availability、精神的・身体的ストレス、体重・体脂肪の減少、ホルモン環境の変化などが考えられています。

原発性無月経:満18歳になっても初経が起こらない状態
続発性無月経:それまであった月経が3カ月以上停止している状態
思春期遅発症:思春期の発来が遅れた状態

3. 骨粗鬆症
骨粗鬆症とは骨量が減少して骨組織の微細構造が変化し、骨がもろくなり骨折しやすくなった状態です。月経に伴い卵巣から分泌されるエストロゲンという女性ホルモンは、骨代謝に関係しており、骨を守る働きをしています。そのため、若い女性であっても、無月経になることで骨量が減少し、疲労骨折(骨の同一部位に繰り返し加わる小さな力によって、骨の疲労現象から骨強度が減少し、骨折が生じる状態)が発症するリスクが高まるのです。実際に、疲労骨折を発症した選手のなかでは、月経異常が高い割合でみられることが確認されています。例えばJISSの調査によると、特に10代の女性選手の疲労骨折発症率が高いほか、10代の選手で比較した場合、正常な月経がある選手に比べ、原発性無月経や続発性無月経の選手のほうが疲労骨折の発生リスクを高いことがわかっています。

このページの先頭へ

ジュニアスポーツ選手で特に気をつけることはありますか?

中高生はライフサイクルの中でも最も身長が伸びる時期であり、最もエネルギー必要量が高い時期にあたります。運動選手に関してはさらに必要エネルギー量が増大するため、意識的に栄養摂取が必要です。

特に気をつけたいのが①朝食をしっかり食べること、②3食に加えて補食でエネルギーを確保することです。

また、中高生の時期は、身長や体重が増加し、筋肉や骨が発達してカラダづくりが行われるだけではなく、呼吸・循環器系も発達する時期です。そのため、いわゆる「筋トレ」だけではなく、脳・神経系・循環器系など様々な部分を考慮してトレーニングを行うことで競技力を高めることができます。

このページの先頭へ

ウエイトコントロール(減量)で気をつけることは?

スポーツ選手がウエイトコントロールを行う際には、体重の変化だけではなく身体組成の変化を把握することが重要です。減量を行う場合、骨格筋量を維持しながら、体脂肪量を減少させなければなりません。

無理な減量をすると筋肉量が落ちる、抵抗力が落ちる、ケガをしやすくなるなど、悪影響を及ぼす可能性があります。

階級性競技では、試合時に体格がより大きい方が有利になるという考えから、通常の体重より低い階級で試合に出場する選手が多いです。このような選手は、ドライアウトという水分制限で急激に体重を落とす急速減量という方法を用いることがありますが、身体への負担が極めて大きい方法であることを知っておかなければなりません。また、トップアスリートの中には急速減量を実施せず、1ヶ月以上前から身体組成の変化をモニタリングしながら調整を行っている選手もたくさんいます。適正体重を把握し、減量を計画的に行うことが重要です。

誤った体重、体型に対する考え方が摂食障害を引き起こす原因にもなります。
女性の場合、月経不順、無月経の問題にもなります。特に成長期の減量はおススメできません。

ウェイトコントロールが必要な場合、主食であるごはんを抜いたり、食事量を極端に制限してしまう人も多いですが、疲れやすくなったり、体脂肪量とともに骨格筋量も減少してしまう恐れがあります。

食事量を制限する前に、食材の選択や調理の方法を見直しましょう。例えば、砂糖の多いお菓子やジュース、脂質の多い食材や部位を避けたり、「揚げる」、「油で焼く」などの調理法から、「蒸す」、「茹でる」、「煮る」、「焼く」などに変えることによって、余分なエネルギーの摂取を抑えることができます。