食物繊維を摂ろう!

難消化性デキストリン

難消化性デキストリンは食物繊維不足を補うためにトウモロコシのでんぷんから作られました。
消費者庁から特定保健用食品(トクホ)の関与成分としても許可されています。

消化しにくいデキストリンって何?

難消化性デキストリンは食物繊維不足を補う目的で作られた

デキストリンとは、α-グルコースがグリコシド結合※1によって重合※2した低分子量の物質の総称で、デンプンの仲間なのです。
難消化性デキストリンとは、読んで字のごとく「消化しにくいデキストリン」というわけですが、どういうものでしょう?
まず、トウモロコシのデンプンを焙焼し、アミラーゼ(食物として摂取したデンプンを消化する酵素)で加水分解します。その中の難消化性成分を取り出して調製した水溶性食物繊維が難消化性デキストリンです。
日本人の食生活が欧米化し、食物繊維の役割が重視されるようになったため、不足しがちな食物繊維を補う目的で作られました。難消化性デキストリンは、低粘性・低甘味で溶けやすく、水に溶かした場合はほぼ透明、耐熱性・耐酸性に優れている食品素材です。いろいろな生理機能をたくさんもっているため、さまざまな食品に利用されています。

  1. ※1グリコシド結合・・・多糖の糖単位を連結している構造のひとつ。
  2. ※2重合・・・簡単な構造をもつ分子化合物が2つ以上結合して分子量の大きな別の化合物を生成すること。

難消化性デキストリンは安全?

安全性はどうでしょうか。難消化性デキストリンについて、米国FDA(食品医薬品局)は、1日の摂取量の上限値を明確に定める必要がないほど、安全な食品素材であると認めています。また、消費者庁長官が許可する特定保健用食品(トクホ)の関与成分となっています。
過去の安全性を調べたヒト試験では、難消化性デキストリンを1日3回毎食前に10gを16週間にわたり摂取した結果、血圧などの生理学的検査値は変化を認めず、またその他の臨床検査値、特に血清タンパク質およびCa(カルシウム)、Mg(マグネシウム)、Fe(鉄)などのミネラル濃度について、難消化性デキストリン摂取が原因となる変化は認められなかったと報告されています。
さらに、試験期間中、下痢などの消化器症状をはじめ、とくに問題となる症状はみられず、安全であると報告されています。

出典:臨床栄養 83,301-305 (1993)

難消化性デキストリンの体内での働き

難消化性デキストリンには主に5つの作用があります。

1.糖の吸収スピードの遅延作用(食後血糖の上昇抑制作用)

食事から摂った糖質は小腸で消化され、吸収されて肝臓に送られます。単糖類や二糖類と一緒に難消化性デキストリンを摂取させたラットおよびヒトを対象としたいくつかの試験では、難消化性デキストリンは単糖類のブドウ糖(グルコース)や果糖(フルクトース)の吸収には影響を及ぼさないが、二糖類の麦芽糖(マルトース)の消化・吸収には影響を及ぼし、食後血糖値の上昇を抑えました。食事と一緒に難消化性デキストリンを摂取させたヒト試験では、でんぷんの消化過程で生成される麦芽糖の消化を抑制することで食後の血糖値の急激な上昇を抑えることが確認されています。
日本内分泌学会雑誌、68,623-635(1992)
日本栄養・食糧学会誌、46,131-137(1993)
糖尿病、35,873-880(1992)
栄養学雑誌、53,361-368(1995)
日本食物繊維研究会誌、3,13-19(1999)

出典:健康・栄養食品研究2, No.4(1999)

被験者36人に対して、難消化性デキストリン5g配合したお茶と一緒にうどん定食を食べると、難消化性デキストリンを配合していないお茶と一緒にうどん定食を食べた時と比べ、血糖値の上昇が食後30分と60分の時点では有意に抑制されました。

2.整腸作用

難消化性デキストリンは、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)を改善するなど、整腸作用と関わりのある生理作用があることもわかっています。

難消化性デキストリン摂取により糞便量および排便回数が増加したことが、ヒト試験では報告されています。
難消化性デキストリンを1日5gまたは10g摂取することで、排便回数と糞便量が増加し、便の性状と排便後の感覚が良好になったという結果も報告されています。

出典:栄養学雑誌 51,31-37(1993)

3.脂肪の吸収スピードの遅延作用(食後血中中性脂肪の上昇抑制作用)

難消化性デキストリンを食事とともに摂取すると、食事に含まれる脂肪の吸収は遅延し、食後血中中性脂肪の上昇は緩やかになりました。

出典:薬理と治療 36,445-451(2008)

4.内臓脂肪の低減作用

BMI 23以上の成人男性36名が難消化性デキストリン9gを含む茶飲料あるいは含まない茶飲料を摂取した試験で、難消化性デキストリンを摂取した場合、内臓の脂肪量および食後の血中中性脂肪値は有意に抑えました。

出典:肥満研究 13,34-41(2007)

5.ミネラルの吸収促進作用

難消化性デキストリンはCa(カルシウム)、Mg(マグネシウム)、Fe(鉄)、Zn(亜鉛)の吸収を促進することが動物実験で確認されました。また、血液中の鉄成分が低値の女子大生が難消化性デキストリンを4週間毎日15g摂取した試験では、血清鉄の値が上昇し、改善が認められました。

よく食品素材として使用される水溶性食物繊維