熱中症に特に注意したい人
乳幼児や高齢者は、熱中症を起こしやすい傾向にあります。特に暑い日や梅雨明けは注意しましょう。
乳幼児
汗腺が未発達で体温調節がうまくできない
乳児や幼児は、大人より新陳代謝が活発で体温が高いのが特徴です。しかし大人と比べて、汗腺の発達が未熟なため、うまく体温調節をすることができません。炎天下の車の中など、体温よりも周囲の温度が高くなる場所では、短時間で体温が上昇し、生命に危険が及ぶこともあります。
外出するときは要注意

気温が高い晴れた日に外出する時も注意が必要です。晴れた日は地面に近いほど気温が高くなります。例えば気温が32℃のとき、地面から50cmの高さでは35℃、5cmの高さでは36℃以上になっていました。ベビーカーに乳幼児を乗せて外出するときは、様子を見ながら十分気をつけましょう。
乳幼児の熱中症を防ぐポイント
- 1顔色や汗のかき方を十分に観察しましょう
子どもを観察したとき、顔が赤く、ひどく汗をかいている場合には、深部体温がかなり上昇していると推察できるので、涼しい環境下で十分な休息を与えましょう。 - 2適切な飲水行動を学習させましょう
喉の渇きに応じて適度な飲水ができる能力を磨きましょう。 - 3日頃から暑さに慣れさせましょう
日頃から適度に外遊びを奨励し、暑熱順化を促進させましょう。 - 4服装を選びましょう
幼児は衣服の選択・着脱に関する十分な知識を身につけていません。そのため、保護者や指導者は熱放散を促す服装を選び、環境条件に応じて衣服の着脱を適切に指導しましょう。
出典:環境庁環境保健部環境安全課、熱中症環境保健マニュアル(H26.3月改訂)
高齢者
身体の機能の低下により重篤になりやすい

高齢になると脂肪がつきやすくなる分、身体の中の水分の割合が少なくなります。同じ環境にいても高齢者の方が熱中症になりやすいのはこのためです。加えて高齢者は暑さやのどの渇きを感じにくく、水分を十分に摂ることが難しいこともわかっています。また、高齢者は、心機能や腎機能が低下しがちなため、熱中症になった時の症状がより重篤になりやすい傾向にあります。
高齢者の注意点
- のどがかわかなくても水分補給
- 部屋の温度をこまめに測る
- 1日1回汗をかく運動
出典:環境庁環境保健部環境安全課、熱中症環境保健マニュアル(H26.3月改訂)

喉が渇いてから飲むというのでは手遅れの場合がある

高齢者の特徴として下記のようなことがあります。
- 身体の感覚がにぶくなり、暑さを感じにくくなったり、喉の渇きを感じにくくなっている
- 身体の中の水分が不足しがちになっている
- 体温調節が遅れがちで、身体の中に熱がこもりやすくなっている
- 食事量が少なくなるとともに飲水量も少なくなる
- トイレが頻回にならないように水分摂取を控える
高齢者は日頃から体調管理に注意して、こまめな水分と塩分(ナトリウム)の補給を心がけることが大切です。
室内環境にも注意しましょう
高齢者の熱中症の特徴として、室内で多く発生していることがあげられます。部屋の温度が上がらないように工夫するとともに、こまめに温度をチェックするようにしましょう。また、高齢者は喉の渇きを感じにくいので、十分な水分の補給が必要です。特に運動する際には、よりいっそう熱中症に対する注意が必要です。
平成22年の熱中症による死亡者数
発生場所 | 死亡総数 |
---|---|
総数 | 1718 |
家(庭) | 783 |
居住施設 | 3 |
学校、施設及び公共の地域 | 3 |
スポーツ施設及び競技施設 | 3 |
街路及びハイウェイ | 20 |
商業及びサービス施設 | 5 |
工業用地域及び建築現場 | 19 |
農場 | 62 |
その他の明示された場所 | 46 |
詳細不明の場所 | 774 |
出典:厚生労働省 平成22年の熱中症による死亡者数について
高齢者の熱中症を防ぐポイント
- こまめに水分補給をする
- シャワーやタオルで身体を冷やす
- 暑いときには無理をしない
- 部屋の風通しを良くする
- 涼しい場所・施設を利用する
- エアコン・扇風機を上手に使用する
- 部屋の温度を測る
- 涼しい服装をする
- 緊急時・困った時の連絡先を確認する
引用:環境省総合環境政策局環境保健部 環境安全課、熱中症~思い当たることはありませんか?~
- 肥満傾向の人、体力のない人、持久力のない人、暑さに慣れていない人
学校でみられた熱中症死亡事故の7割は、肥満傾向のある生徒に発生しています。皮下脂肪が多いと身体の中の熱を逃がしにくくなり、また重い身体を動かすためより多くの熱が発生するためです。また体力や持久力の低い人も暑さに弱いため注意が必要です。 - 運動部の一年生
まだ運動に慣れていない、自分の身体の状態がわかっていないため無理をしがち、などの理由で、中学・高校の運動部の一年生に、特に熱中症の発生が多くなっています。 - 体調の悪い人
寝不足や疲れがたまって体調が悪いときや、二日酔いや下痢で体内の水分が減っているときには、体温を調節する身体の仕組みが普段通りに働かないため、熱中症を起こす危険性が高くなります。 - 持病のある人、熱中症になったことがある人
糖尿病、高血圧症、心疾患、腎不全、精神神経系の疾患、広範囲の皮膚疾患で治療を受けている人は、熱中症を発生しやすいことがわかっています。また、以前熱中症になったことのある人も特に注意しておきましょう。
スポーツ中や職場など、熱中症に注意が必要なシチュエーションと、その対策と対処法についてケーススタディ形式で紹介します。