服薬継続について
再発予防のためには、薬を服用することも大切です。主治医の指示に従って、正しく服用しましょう。なお、服用中に副作用が現れるなど、気になることがある場合は、すぐに主治医に相談しましょう。
脳梗塞の再発予防
脳梗塞の原因となった心臓病、糖尿病、高血圧、高コレステロール血症などの生活習慣病を管理することが重要になります。同時に、心原性脳塞栓症の場合には、再発しないように血が固まるのを抑制するお薬(抗凝固薬)を飲み続けます。最近、新しい経口の抗凝固薬も登場しました。ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞の場合には、血を固まりにくくするお薬(抗血小板薬)を飲み続けます。
服薬アドヒアランスの現状
- 脳梗塞再発抑制のための薬剤の服薬継続率は経年的に低下
- スウェーデンの調査※では、脳梗塞再発抑制のための薬剤の服薬継続率は経年的に低下していくことが示されています。
- ※Glader. EL, et al.: Stroke 41(2),397-401, 2010
- お薬を飲み残す理由
- 平成27年度の埼玉県薬剤師会のアンケート調査では、残薬に生じる最大の理由が「つい飲み忘れてしまうから」とされています。
服薬を継続する工夫
服用すべきお薬の選択
服薬カレンダーや一包化といった工夫でその時間帯に服用すべきお薬を選ぶのは容易ですが、定刻に服薬することを思い出すことは、高齢者にとっては難しい面もあります。
服薬することを思い出す
定刻に服薬することを思い出すためには、お知らせ機能付きのピルケースやスマートフォンや携帯を利用したお知らせといった取り組みがすでに行われています。
Message from 宮本先生
脳卒中の予防のためにはその原因となる生活習慣病を治療するために、高血圧に対する降圧薬、糖尿病治療薬、脂質異常治療薬などを用います。そして、今日の脳卒中のなかで最も頻度が高い脳梗塞の再発予防には抗血小板薬や抗凝固薬などの抗血栓療法が必要となります。 しかしながら、脳卒中になったにもかかわらず、抗血栓薬の服薬を止めてしまう患者が少なくないことが知られており、これを「服薬アドヒアランスの低下」といいます。アドヒアランスの低下は脳卒中再発につながります。アドヒアランスに影響を与える要因には飲みやすさなどの薬剤の因子、理解度や経済的理由などの患者側の因子、医療従事者の因子があります。服薬アドヒアランス向上の工夫として、例えば一包化やお薬カレンダーの利用、最近ではスマートフォンのアラームやアプリなどのIoT(Internet of Things)を活用することも可能になっています。