旅行者血栓症(エコノミークラス症候群)を防ぐには?

監修:京都府立医科大学 名誉教授 森本 武利 先生

海外旅行などで飛行機に搭乗し、長時間同じ姿勢でいるときなどに発症する疾患が、旅行者血栓症(エコノミークラス症候群)です。

この疾患は、動作が少なく長時間同じ姿勢でいると下肢(足)が圧迫され、血流が悪くなり血栓(血のかたまり)ができやすくなり、できた小さな血栓が肺の静脈を詰まらせてしまうことで発症します。

  • 旅行者血栓症の正式名称は「静脈血栓塞栓症」です。
エコノミークラス症候群の初期症状

呼吸困難73%、胸痛53%、不安感31%、冷汗31%、失神27%。
(JASPER[肺血栓症研究会]2000)

エコノミークラス症候群の原因

水分の摂取不足やアルコール等利尿作用のある飲料摂取による脱水傾向などによる、血液粘度の上昇。

エコノミークラス症候群の予防法
  • 歩行などの運動
  • 足のマッサージ
  • イオン飲料による適切な水分摂取

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飛行機だけじゃない?
エコノミークラス症候群

旅行者血栓症は、従来「エコノミークラス症候群」とも呼ばれていました。したがって「飛行機のエコノミークラスでのみ起こる症状」だと思われるかもしれません。
しかし、実は旅行者血栓症は、飛行機だけではなく、列車旅行など、長時間座席に座って移動する時や、オフィスでのデスクワーク、長時間の会議、劇場・映画館などでも発症すると考えられます。特に、空調設備の整ったオフィス環境はきわめて航空機内に類似した環境と言えます。旅行者血栓症とは何か、その原因をしっかり理解し、対処することが大切です。