低栄養によって生じる健康への影響例と
推奨される栄養素
低栄養により、様々な健康への影響が懸念されています。
鉄欠乏性貧血
血液中の鉄分が不足して起こる貧血です。現在女性の鉄摂取量不足が指摘されており、例えば、18歳~20歳代の女性では、月経がない場合と比較して、月経がある場合の推奨量は1.5倍以上になり、積極的な鉄の摂取が必要となります。貧血の原因として、思春期のカラダの発育に伴う鉄需要増大、月経による鉄損失などもあります。
そのため、鉄を含む食品や、血を造ったり鉄の吸収に必要となるタンパク質やビタミンなどの栄養摂取を心がけるとよいでしょう。
次世代への影響
厚生労働省の[妊産婦のための食生活指針-「健やか親子21」推進検討会報告書- ]によると、妊娠前の体格が「低体重(やせ)」である女性や妊娠期の体重増加が少ないと、低出生体重児を出産するリスクが高くなることが報告されています。
また、人口動態統計の結果では、低出生体重児の割合は全出生数の5.1%(1975 年)から9.6%(2009 年)と増加傾向にあり、平均出生体重も3200g(1980年)から3000g(2010年)と減少しています。その背景として、妊娠前の体格が痩せであることや妊娠中の体重増加の抑制が関与している可能性も報告されています。低出生体重児については、成人後に糖尿病や高血圧などの生活習慣病を発症しやすいという調査もあります。
さらに、ダイエットにより体重を急激に減少させると体脂肪率も減少します。体脂肪率と卵巣機能とは密接な関係にあり、体脂肪率の減少は、間脳下垂体系の働きを抑制し、月経不順、無月経などの卵巣機能不全を起こすともいわれており、重度の無月経となった場合には、卵巣機能の回復が困難なこともあるため、過度のダイエットには注意が必要です。
若年者の骨量低下
骨粗鬆症は、骨折しやすくなるほど骨量が低下した状態のことです。20歳代の女性にとっては、一見無関係にみえるかもしれませんが、骨量は男女とも20~30歳代にピークに到達すると言われています。つまり、それまでに骨が形成され、それ以後は加齢とともに、骨量の減少が生じるのです。女性は一般的に男性よりも骨量が低く、また閉経後は女性ホルモン(エストロゲン)の低下から、加速度的に骨量が減少するため、より注意が必要です。18歳~20歳代女性のカルシウム推奨量650mgに対して、実際の摂取量平均は405mgと約25%も不足している状態です※。骨粗鬆症の予防には、若い世代における骨量を高めるため、カルシウムを摂取することも対策のひとつです。また、カルシウムの吸収を促すビタミンDや骨の形成を助けるビタミンKの摂取も心がけましょう。
- ※平成25年度 国民健康・栄養調査/日本人の食事摂取基準 2015年版
カルシウムを多く含む食品群
骨や歯の形成に必要な栄養素です。
ビタミンDを多く含む食品群
腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です。
ビタミンKを多く含む食品群
カルシウムの生成を助ける栄養素です。