更年期以降
40歳代半ばをすぎると、閉経が近づき、卵巣の働きが衰えることで、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が乱れ、それに伴い心とカラダの様々な症状が現れます。この時期の女性は職場でも重責を担うケースも多く、責任ある立場で心身ともにストレスを受けやすい状況にあるとともに、家族環境の変化など、私生活の変容によって不安定になりやすい時でもあります。この時期のセルフケアは、仕事の場面においてベストパフォーマンスを維持する上でとても重要であり、さらには、その後のQOL(生活の質)、および健康寿命※の延伸に影響することがわかっています。
- ※平均寿命―要介護年齢=健康寿命 日本人女性の健康寿命は73.62歳(2010年)、平均寿命は86.3歳(厚生労働省 平成22年簡易生命表)
更年期以降の女性には、女性ホルモン(エストロゲン)の低下に伴い、更年期障害、脂質異常症(高脂血症)、骨粗鬆症など様々な症状が現れます。
更年期障害
女性の閉経の平均年齢は50.5歳で、その前後5年の約10年、45~55歳を更年期といいます。更年期障害とは、閉経前後の女性の不定愁訴の総称であり、のぼせ・発汗を主体とする血管運動神経症状のほか、情緒不安定・抑うつなどの精神症状など、様々な症状が含まれます。更年期障害の症状は、閉経に近づくにつれみられる女性ホルモン(エストロゲン)の低下が一因と考えられています。
骨粗鬆症
骨粗鬆症は、骨折しやすくなるほどに骨量が低下した状態のことであり、女性ホルモン(エストロゲン)は、骨量の変化に大きな関わりを持っています。閉経や加齢、病気などにより、エストロゲンの分泌が低下すると、骨の形成が吸収に追いつかなくなり、骨量が減少してしまいます。高齢の女性に骨粗鬆症が多いのは、閉経により、急激にエストロゲンの分泌が減少するためです。
脂質異常症(高脂血症)
脂質異常症とは、血液中のLDLコレステロールや中性脂肪が多すぎたり、HDLコレステロールが少なくなる疾患です。放置すると、動脈硬化が少しずつ進んでいき、心筋梗塞や脳卒中などの病気を引き起こすこともあるため、注意が必要です。
女性の場合、総コレステロールとLDLコレステロールは50歳頃に急激に上昇し、中性脂肪は40歳以後に上昇する推移を示す一方、HDLコレステロールは、50歳以後に低下する傾向があります。そのため、閉経後に脂質異常をきたすことが考えられ、実際に女性ホルモン(エストロゲン)の低下と脂質異常症との密接な関連も報告されています。厚生労働省によると、脂質異常症を疑われる女性は、50歳代以降急激に増加傾向にあります。